<この体験記を書いた人>
ペンネーム:向日葵
性別:女
年齢:51
プロフィール:13歳から25歳までの3人の子供と夫がいる、働くお母さんです。
夫が脳梗塞で倒れて働けなくなったため、週5日のフルタイムで働きだして早8年あまり。
昼間は夫のリハビリ通院や、子供の学校行事などへの参加のため体を空けておきたいので、自然と夜勤の仕事に就きました。
ですが、仕事の内容以上に大変なのは、人間関係でした。
面白い人や意地悪な人、さまざまな同僚がいます。
そんな中で、最近まで私を悩ませていたのが、同じ部署で働く50代の女性Aさんです。
Aさんの勤続年数は5年ほどですが、私と同じ部署に来たのは1年ほど前。
このAさん、明るくて気さくな人なのですが、少し困ったところがあるんです。
深夜の1時間ほどの休憩時間に、Aさんは「ちょっとコーヒー代貸して」「ちよっとタバコ代貸して」といってはちょくちょく小銭を借りにくるのです。
はじめは「お財布を忘れたのかな?」と思って気軽に貸しましたが、毎日顔を合わせているのに一向に返してくれる気配がありません。
数百円程度の金額ですが、ちりも積もれば山となる。
じわりじわりと貸した金額が増え、数千円にまで膨れ上がってしまいました。
そうはいっても1回1回の金額は少額で、毎日顔を合わせる同僚相手のことなので、強く「貸したお金返してね」というのも気が引けます。
どうしたものか悩んでいるところに、別の同僚Bさんから「実はAさんにお金を貸していて返ってこない」と相談を受けました。
Bさんとはそれほど親しいわけではなかったのですが、同じAさんのことで悩む者同士。
妙に意気投合し、二人でAさん対策を考えることに。
まず候補に上がったのは、次にお金を借りに来たらズバリ、「前に貸したお金を返してね」と言うこと。
しかし、これは私もBさんも性格的になかなかハードルが高く、あえなく却下。
次に考えた案は「お財布を忘れちゃったからゴメンね」と言って断ること。
これならAさんも仕方がないかと諦めてくれるかもしれませんが、悲しいかな何度も使える技ではありません。
そこで考え出したのが「お財布を持っていくのをやめること」です。
職場の休憩室では、緑茶・ほうじ茶・熱湯・冷水が自由に飲めるようになっています。
マイカップを持参して、基本的に飲み物は備え付けのお茶類ですませることにしました。
あとは他に、コーヒー・紅茶・ミルクティー・抹茶オレなどいろいろな味のスティック袋入りのインスタント飲料を持参すれば、いろいろな味が楽しめます。
そうこうしているうちに、Aさんが例のごとく「悪いけど、コーヒー代貸してくれる?」と言って来ました。
その時にはBさんと一緒にテーブルを囲んで休憩するようになっていたので、隣りにいたBさんと目くばせしていざ作戦決行。
「ごめんね。節約のために私たち、お財布、持ってきてないんだ」とニッコリ笑顔で応対。
するとAさんは私とBさんを交互に見やり、何かを察したのか悲しそうな顔をしました。
その時、私の中に沸き上がったのは...してやったりの爽快感ではなく、なんとも言えない居心地の悪さ。
別に意地悪をしているわけではないのですが、妙に気が咎めた私は、思わず「インスタントの飲み物、色々あるから一緒に飲まない?」とAさんを誘っていました。
最初Aさんは驚いた表情を浮かべましたが、やがて笑顔になり一緒にテーブルを囲みました。
こうしてこの日を境にAさんはお金を借りに来ることはなくなり、私たちと一緒に休憩するようになりました。
貸したお金は、まだ全額は返ってきませんが、結果的に「マイカップ持参」で思わぬ節約になった、困った同僚とのエピソードです。
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