<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ゆらら
性別:52
年齢:女
プロフィール:週3ほど書店で働いています。オープン当初の40代の店長はとにかく頼りない人でした。
パート採用の面接の時、穏やかで優しそうな印象だった店長。
でもいざ一緒に働き始めると私たち従業員との会話はもちろん、お客様対応もまともにできないことが分かって来て、あっという間に「店長はいまいち」と噂されるようになってしまいました。
ただ、全国に展開している書店なので、慣れるまでは他店からヘルプで来てくれていた社員の方などが細かく指導してくれて、困った時も直ぐに助けてくれたため支障はありませんでした。
でも3週間ほど経過し、1人また1人と頼りにしていた人たちがそれぞれの店舗に帰って行ってしまうと、次第にお店の中はバタバタに。
教えてもらった端末の入力の仕方が分からなくなったり、お客様とのトラブルが起きたり。
でも混乱する従業員をよそに店長は事務所に籠ったままで、フロアに出ることもたまにしかない状態。
店長は声も掛けづらく、困った私たちは他店へ連絡し、社員さんから指示を仰いだりして乗り切ったのです。
そんな状態が続いたので、私たちも店長に助けを求めることを諦めて、それなりに自分たちで何でも上手く対応できるようになっていきました。
ただ、お客様にとって私たちはただの「従業員」です。
トラブルが起きると「店長呼んで来いっ!」などとお客様がキレてしまうこともありました。
そんな時も支店長や社員が対応してくれたのですが、店長は支店長や社員さんが対応できない時だけ渋々出てくるという状態で、全く当てになりませんでした。
特に困ったのは、お客様にハッキリと言うべきことを言ってくれなかったことです。
オープン当初から次から次へと本を取り寄せ、気が向いた時にフラッと来て溜まった中から数冊だけ買っていくというお客様にみんなが手を焼いていました。
あまりにも繰り返されて、取り置き用の棚の一部がそのお客様専用になってしまうほどだったのです。
何度も店長に話しましたが「困ったね」と言うだけ。
直接対応して欲しいと頼むと「なかなか難しい」と言います。
意味が分からずみんな困惑していました。
結局何も手を打つことなくお客様の取り置きの本はどんどん溜まっていき、注文を受けるたびに私たちのイライラも積み重なっていきました。
そんな状態が2年続き、3年目に入る頃に店長が異動になるとの噂が。
従業員にとっては待ちに待ったという感じで、次にどんな人が来るだろうと盛り上がり、私も今の店長からの解放感と次の店長への期待感でワクワクしました。
新しい店長がやって来ると職場は一転。
まずは従業員1人1人との面談が行われ、お店の雰囲気やお客様の様子について話をしました。
その際に新店長の方から「どうして客注の棚にあんなに商品が溜まっているのか」と聞かれたため、ずっと困っていたことを伝えました。
私以外にも何人かが同じ話をしたようです。
すると早速、新しく予約されていた本が入荷した際に店長自ら電話連絡をしてくれました。
「取り置きの本を早く購入して欲しい。購入の意志がないなら次から予約は受け付けない」
そう伝えてくれたのです。
直ぐにお客様が来店され店長と直接話をしました。
お客様は「常連なのに」と身勝手なことを言っておりましたが、「お店のルールです」とピシャリと一言。
溜まっていた本は何回かに分けて、全て購入するという約束を取り付けてくれました。
対応の早さに感動し安心感を抱いた私。
急に仕事がしやすくなりました。
みんなも同じく働きやすいと喜んでいました。
それ以来、面倒な作業の時や難しいお客様の対応が片付くと、前の店長のことが話題になります。
異動先のお店の従業員さんの大変さを思い「気の毒だよね」としみじみと話しています。
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