<この体験記を書いた人>
ペンネーム:ペンペン
性別:女
年齢:52
プロフィール:90代前半の義母は介護施設で生活しています。
90代前半の義母は介護施設で生活しています。
義父亡きあと一人になった義母ですが、「それでもここで暮らしたい」と、自宅での生活を頑張っていました。
しかし、ちょっとしたことで足を骨折してしまい、それを期に介護施設に入所することになってしまいました。
そんな経緯での入所でしたので、義母に寂しい思いをさせてはいけないと、月に1回程度は家族全員でお見舞いに行くことに決めています。
いつもそこにいるのは、私たち夫婦と娘とその子供たち。義母にとって息子と孫、そしてひ孫です。
きっとこの時間は義母にとっては待ち遠しくて幸せなひと時なのでしょう。
私たちの顔を見た途端、「あら~、いらっしゃい♪」と、少女のような可愛い笑顔で迎えてくれます。
しばし楽しい時間を過ごして、別れの時間がやってくると、決まって2人のひ孫それぞれに500円玉を握らせ「ママかばあばにお菓子買ってもらってね」と一言添えてくれるのがいつもの義母でした。
そんなある日、いつも通りにお見舞いに行くと、その日はいつもと義母の様子が違っていました。
にこやかな笑顔はどこにもなくて「ちょっと不機嫌?」あるいは「なにか怒っているの?」と聞きたくなる様子でこちらをイチベツです。
そして、ひ孫たちの顔を見るやいなや、「お見舞いに来てもお金はあげないわよ!」とキツい口調で伝えてきたのです。
その瞬間、穏やかな空気は一転。突然のことに苦笑いの夫、ポカーンと口を開いたままの私、ムッとしたような表情の娘、部屋全体が重苦しい雰囲気に包まれました。
私は「いったいぜんたいどうしたんだお義母さん!」と叫びたい衝動を何とか抑え、「お金なんて要りませんよ~。せっかく来たのだから、いろいろお話ししましょ」と切り出して様子を探ることに。
天気の話、孫たちの学校の話しなど当たり障りのない会話でその場をつないでいると、徐々に義母の緊張がほぐれ、ぽつぽつと自分の事を話し始めました。そこでわかったのが、「ちょっとした変化がもたらした大きな不安」でした。
どうやら、介護士さんが増員されたことで、全然知らない人と関わることになったようなのです。
新しい介護士さんがどんな性格の人なのかわからない...という漠然とした不安と、一から人間関係を作るのはしんどい...という思い、そして怖い人だったらどうしようと恐怖を感じていることなどが伝わってきました。
しかも、それが原因でいつもイライラしていて、夜も眠れないことがあるのだと聞かされ納得の私。
つまり今回のことは義母が抱えているストレスが原因だったのです。
確かに、毎日関わる人がどんな人なのか全然わからないのって深刻な問題。
ですが、そうとは言えない性格の義母は別の方法で「助けてサイン」を発していたのでしょう。
そこで、義母の不安を取り除くために、まずは私たち夫婦が新しい介護士さんとの人間関係を作ることに。
挨拶から始まり、世間話をして、徐々に打ち解けたところで好きな食べもの&好きなテレビ番組&好きなタレントさん談義に花を咲かせました。
すると、とても話しやすい人とわかって一安心。義母にその様子を見せることで、一件落着しました。
高齢者になると、ちょっとした変化が大きなストレスとなり、それはその人の性格にまで影響を及ぼすこともあるみたいです。
ですので、言動にだけ目を向けるのではなく、その原因を悟ることが何より大切だと実感する出来事でした。
これからも、義母の変化の裏にある「そうなる原因」としっかり向き合っていきたいと思います。
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