「スポーツ選手のスポンサー」になるメリットは? 消費者に嫌がられないポイントは「訴求力の弱さ」

ファンと濃い関係性がつくれる

もう一歩踏み込むと、広告手段を変えることで消費者との関係性も変わります。

テレビCMなどは、企業が売り手で消費者が買い手という関係性です。広告を通じたコミュニケーションも企業側からの一方通行です。

一方、スポーツチームなどのスポンサーは、消費者と企業が同じ立場でチームや選手を応援する関係性です。立場や視点が同じであるため、消費者の中では、一緒のチームを応援する仲間意識が芽生えやすくなります。企業を仲間と認識することで、チームや選手のみならずその企業も応援しようと考える人も増えやすくなります。応援者となった消費者は、個人として企業に興味を持つだけでなく、知人などに推奨したり、SNSで魅力を発信したりしてくれるかもしれません。

このように自発的に企業を応援する人をアンバサダーといいます。また、アンバサダーを増やし、彼らの積極的な情報発信をうながす手法をアンバサダーマーケティングといいます。

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成長を手伝ってくれる味方

アンバサダーは「大使」の意味を持つ言葉で、自治体などでは、その地域出身の芸能人など
を親善大使として地域の魅力を発信しています。

これもアンバサダーマーケティングの1つですが、芸能人など知名度や影響力がある人を起用することが必須ではありません。重要なのは企業(自治体の場合は地域)への愛や忠誠心で、それが自主的な情報発信の源泉ですので、その点さえ満たしていれば誰でもアンバサダーになれますし、芸能人をアンバサダーとするよりも多くの人に情報発信することもできます。

また、アンバサダーは商品や企業の成長について真剣に考えてくれます。そのための意見や提案も自主的にしてくれます。消費者の声を聞くマーケティングは市場調査やアンケート調査などがありますが、無作為に選んだ人よりもアンバサダーのほうが親身になって改善案を考えてくれるはずです。彼らの声を聞くことで、アンバサダーとの関係性がさらに強固になります。また、広告費を抑えることにもつながります。

新商品などを周知する方法としてCMは引き続き有効な手段ですが、日々大量の商品が発売される現在の市場では消費者が飽きるスピードが早くなっています。そういう市場だからこそ、収益を安定させ、伸ばしていくために熱心なファンのリピートが重要です。

スポーツなどを通じて同じ目線を共有し、企業の成長に協力してくれる人を増やしていくことが事業変革のポイントになるのです。

 

菅原由一
1975年三重県生まれ。SMG税理士事務所・代表税理士。人よりも3倍の勉強量で税理士試験に打ち込み、20代で税理士資格を取得。現在は、東京・名古屋・大阪・三重に拠点を置き、中小企業の財務コンサルタントとして活躍。銀行が絶賛する独自資料の作成で赤字会社も含め融資実行率は95%以上。顧問先の黒字企業割合は 85%を実現し、全国平均30%を圧倒的に凌ぐ。これまでに全国各地で 1,000 本以上の講演やセミナー講師を務め、1万名超の経営者が受講し、大手企業からの講演依頼が絶えない。YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』は開設わずか1年で登録者数38万人を突破し、TV、専門誌、新聞、各メディアで取り上げられ注目を集めている。「努力と結果は比例する!」を座右の銘として、YouTube、ブログ、SNSで経営のノウハウを毎日配信している。

※本記事は菅原由一 著の書籍『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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