数万匹の真鯛の注文がキャンセルに! コロナ禍の「危機」を救った画期的な「アイデア」

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『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』 (川上徹也/SBクリエイティブ)第6回【全8回】

インフレによる値上げが続き、消費者の購買行動にブレーキがかかる中、それでも売れ続ける商品は確かに存在します。それらの商品は一体何が違うのでしょうか? 湘南ストーリーブランディング研究所代表の川上徹也氏による『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』は、その疑問にロジカルに答えています。実際に売れた商品の事例を見て、理由を考えながら読み進めてみましょう。

※本記事は川上徹也著の書籍『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。


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※写真はイメージです(画像提供:ピクスタ)

応援消費で6300匹の真鯛が直接消費者に

「ポケットマルシェ」というサービスをご存じでしょうか?

全国の生産者と消費者を直接繫いで購入できるCtoCプラットフォームで、2016年よりサービスを開始しています。

2020年4月、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され、多くの飲食店や商業施設が休業を余儀なくされた中、「ポケットマルシェ」は全国の生産者のフードレスキュー体制を強化して、応援消費を積極的にサポートしました。

中でも「5670(コロナゼロ)プロジェクト」は初期の大成功例のひとつです。

2020年4月、三重県の小さな漁村にある友栄水産3代目の橋本純さんは途方にくれていました。

友栄水産は真鯛(まだい)の養殖が家業で、月に2万匹の真鯛を生きたまま観光施設や飲食店に卸していました。

ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で緊急事態宣言が発出されたことで卸先の店は休業になり、数万匹の真鯛の注文がキャンセルになってしまったのです。

生け簀(す)で育てられている真鯛は、そのままにしておくと大きくなりすぎて規格外になり、商品価値がなくなります。さらに、稚魚を育てるスペースもなくなるので、2年後にも影響します。海に放流しても生き抜くことは難しいので、環境保全の面からできません。かといって廃棄するのも莫大な費用がかかるし、何よりもったいない。まさに八方塞がり。

 

川上徹也
湘南ストーリーブランディング研究所代表。大阪大学人間科学部卒業後、大手広告代理店勤務を経て独立。数多くの企業の広告制作に携わる。東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞、フジサンケイグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC 賞など受賞歴多数。現在は、広告制作にとどまらず、さまざまな企業・団体・自治体などのブランディングや研修のサポー ト、広告・広報アドバイザーなどもつとめる。著書は『物を売るバカ』『1行バカ売れ』(いずれも角川新書)、『キャッチコピー力の基本』(日本実業出版社)、『江戸式マーケ』(文藝春秋)、『売れないものを売る方法? そんなものがほんとにあるなら教えてください!』(SB 新書)など多数。

※本記事は川上徹也著の書籍『高くてもバカ売れ! なんで? インフレ時代でも売れる7の鉄則』(SBクリエイティブ)から一部抜粋・編集しました。
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