【本作を第1回から読む】「中古」より「新築」がお得!? 初期費用だけでは計れない、住宅購入時の「トータルコスト」の重要性
『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』 (平松明展/KADOKAWA)第3回【全6回】
住宅購入は、一生で一度の大きな買い物といっても過言ではありません。「後悔したくない」とは思っても、漠然としたまま足踏みしている方も多いはず。大工経験があり、建築士の資格をもつ建築会社社長・平松明展氏による『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』には、「安心安全に暮らせて老後に不安のない住まい」を手に入れるためのポイントが紹介されています。住まいに関する知識を得て、理想を現実にしませんか?
※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
住宅構造に見る家の耐久性
平均寿命は延び続けています。これは体の構造が変化したのではなく、生活習慣の改善、食事の質、医療などさまざまな要素の質が高まっての結果ですよね。住宅の耐久性についても同様です。鉄骨造、RC構造(※)、木造建築の構造について解説します。
※RC構造:柱や梁(はり)などの主要部分を鉄筋とコンクリートで構築している。
地震、台風、火災、湿気に強い家
ライフプランを考えるうえで老後にどれだけお金を残しておくかは重要ですよね。それが初期費用やランニングコストなどマネープランに関わってきますが、鉄骨造、RC構造、木造建築のうち、高性能住宅という条件をつけて比較した場合は、木造建築が最もコスパのよい家といえます。
鉄骨造は坪単価70〜80万円、RC構造は80万円以上、木造は60〜70万円を目安と考えてください。これは初期費用での坪単価の比較になりますが、ランニングコストやメンテナンスコストを考慮しても木造が最も低い単価になります。
例えば断熱性でいうと鉄骨造は熱伝導性が高いため、冬は寒く、夏は暑いということを避けられません。よってエアコンの稼働率が高くなり、光熱費がとても高くなります。RC構造には鉄骨のほかにコンクリートも使われるので、より蓄熱量が多く、室温を快適にするまでに大きなエネルギーを要します。それを解消するには鉄骨造もRC構造も外断熱という工法が必須になります。
では木造建築のなにが不都合なのか? わかりやすくいうと木材は鉄骨やコンクリートよりも弱い建材です。よって木造は鉄骨造やRC構造に比べて地震、台風に弱い側面があります。
火災についてはどれが最も安全かは一概にはいえません。木材が一番燃えやすいのは確かですが、鉄骨造の場合は熱で湾曲して倒壊するまでが木造より早いという見解もあります。一方でRC構造は火災にも強いといわれています。
建物自体が重い鉄骨造とRC構造は災害に強く、耐久性の高い住宅です。特にRC構造は優れています。さらに大きな建物をつくることができ、木造ではできないデザインを選択することもできます。例えば2階にせり出した部分をつくるなど、よりこだわった外装デザインにできる住宅ともいえます。資金に余裕があり、デザインにこだわりたい人には最適かもしれません。
ただし、木造建築でもデメリットとされる部分を解消できます。つまり耐久性を高めることができるのです。これが人間の平均寿命を延ばすための要素と似ているのです【表1】。