近頃「新NISA」が話題だ。2024年1月より非課税の投資枠が大幅にあがりお得度がグンとUPすると聞き、株に興味を持ち始めた人もいることだろう。とはいえやっぱり「株はちょっと怖い...」との思いもくすぶっていたりして...。そんな人は、プロ棋士の桐谷広人さんの株主優待＆配当生活を知ったらガゼンやる気になるかもしれない。
桐谷さん曰く「家賃とお嫁さん以外は優待で賄える」そうで、桐谷さんは実際、洋服から食べ物、自転車まで日常の品々のほとんどを優待で得ているとのこと。著書『一番売れてる月刊マネー誌ZAiと作った桐谷さんの株入門 改訂版』（ダイヤモンド社）には、そんな桐谷さんの優待ライフに加え、「優待株を選ぶコツ」「買い時はいつか」など株ビギナーにもうれしい情報がわかりやすく紹介されていて必見だ。
本書によれば、優待名人となる前の桐谷さんは40年の株人生の中でアップダウンをさまざまに経験（なんとリーマンショックで3億の資産が5000万円に急落したことも！）。それだけ聞くと株ビギナーはビビってしまいそうだが、桐谷さんはその大損経験から狩猟型（株の値上がり益だけを狙う投資スタイル）から農耕型（優待＋配当を狙う）にシフトチェンジし安全運転な株人生を継続。なんと、資産は5億円超というのだから驚きだ。
このたび「毎日が発見ネット」編集部では、そんな優待名人・桐谷さんにメールインタビューを敢行。株ビギナーの心構えのほか、なんと最新のオススメ「優待株情報」もアリ。桐谷さんのアドバイスで、あなたも新たな一歩が踏み出せるかも!?
取材・文＝荒井理恵
撮影：山本祐之
――株ビギナーは、まずどこからはじめたらいいのでしょうか？
桐谷広人さん（以下、桐谷）：まずネット証券に口座を開いて、とりあえず5万円ぐらいの優待株を1つ買ってみるところから始めるといいと思います。ネット証券は手数料無料のところが多いんですよ。バブルの時代は銀行から証券会社にお金を振り込むのが大変で、1時間も待って手数料も何百円も取られたんですから。5万円ぐらいで買えるいい優待株が100社ぐらいあるんで、自分が欲しいと思うのを1つ選んで買って、とりあえず株式デビューをしてね。1年後ぐらいに優待が来て「優待がいいもんだ」というのを感じてから、余裕資金があれば買い増していくのがいいと思いますね。
――投資スタイルには「狩猟型」と「農耕型」があるとのことですが、自分に合うタイプはどう見分けたらよいのでしょうか？
桐谷：やっぱり最初は株価の値上がりに注目する「狩猟型」からスタートする人が多いですよね。値上がりで儲けた後にだいたい信用取引をやって痛い目にあって、それで優待株投資の「農耕型」に行くんですね。私も何回も痛い目にあってきましたけど、年を取るうちに「やっぱり値上がりを狙うというのは危ない」ってだんだん分かってきて。誰でも若い時は体力あるから猛獣狩りに行くんですけども、年を取ると「猛獣狩りはもう無理だ」と農耕型になるんじゃないかと思いますね。損したくない人や「株は怖い」って思っている人は最初から農耕型の方がいいですね。
――「新NISA」を考えると「やるならいま！」とちょっと焦ります。一番気をつけるべきことは？
桐谷：新NISAに関係なく、まず「高いところを買わない」ってことですね。人気がある株は高いんですね。新聞の記事ですごく業績がいいとか言われると買いたくなっちゃうんですが、良い情報が出ている株は既に高いです。私の経験でいうと、良い情報がいっぱいあって既に高くなっている株というのは、何かのきっかけで下がることが多いんですよ。だからとにかく安いところを買うっていうのが私の考え方ですね。優待株も安いところで買います。とにかく年初来安値をつけた銘柄を見て、買うべき銘柄かどうかを判断しています。ちなみに今日は吉野家（※）でお昼ご飯を食べました。吉野家の優待も非常にいいんですけど吉野家の株はいま33万円くらいしましてね（※株価は11月29日時点、吉の字は、正しくは「土（つち）」に「口（くち）」）。高いからいまは買う時期じゃないんですよね。
