どこで、誰と、いつまで、どのように暮らす? 「平屋」「総二階」「3階建」それぞれの魅力と選び方

生活スタイル次第で構造の比較が変わる

平屋と総二階で延床面積が同じだとした場合、間取りが変わってきます。総二階で比較的多い間取りは、1階に玄関、キッチンダイニング、リビング、トイレ、2階に寝室ともうひと部屋です。

ここでお風呂を入れていないのは、1階と2階で設置場所の考えが分かれるからです。1階に入れると間取りが窮屈になりますが、2階は比較的余裕があるのでお風呂を設置しやすいという考えもあるのです。また寝室、お風呂、ベランダという動線ができるメリットもあります。

2階にお風呂を設置するデメリットとしては、水まわりの設計や構造は別として階段の上り下りの支障があると思います。これはお風呂に限らず、平屋はワンフロアで生活のすべてをまかなえるわけですから利便性の高い間取りといえます。老後の生活を考慮して平屋を選択する人も少なくありません。

間取りだけで考えると、動線がよく利便性の高いのに越したことはありませんが、総二階には1階と2階とで生活スペースを分けられ、プライバシーを確保できるという利点があります。来客時に2階のプライバシーは守られ、子どもの生活スタイルにも合わせやすいのです。

平屋の空間づくりでの補足として、階段を設置する必要がないため空間を有効活用した間取りにできるメリットもあります。また敷地面積を大きくしなければならないという条件をうまく活用し、デッキを設置したり庭を充実させたりできるという魅力もあるでしょう。

平屋と総二階との比較に限ったことではありませんが、どこで、誰と、いつまで、どのように暮らすかというライフプラン次第で間取りは変わってくるべきです。

冒頭でも述べましたが、平屋は敷地面積を要する分、初期費用が高くなります。ただし、土地代が安いところではその費用差が大きなリスクにはならないでしょう。

どこで、誰と、いつまで、どのように暮らす? 「平屋」「総二階」「3階建」それぞれの魅力と選び方 sumaitaizen_p142.jpgどこで、誰と、いつまで、どのように暮らす? 「平屋」「総二階」「3階建」それぞれの魅力と選び方 sumaitaizen_p143.jpg

 

平松明展
平松建築株式会社代表取締役。建築歴23年。19歳から大工として10年間で100軒以上の住宅を解体、修繕し、住宅の性能の特徴を理解する。2009年創業。会社経営を行いながらもドイツを訪れて省エネ住宅を学ぶほか、地震後の現地取材を行い、気候風土に合った家づくりの研究を行う。YouTube チャンネル「職人社長の家づくり工務店」(登録者数は9万人以上)も配信中。

※本記事は平松明展著の書籍『住まい大全 ずっと快適な家の選び方、つくり方、暮らし方』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。

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