日本人の平均寿命は、女87.14歳 男80.98歳と世界トップ。平均寿命までたっぷりと時間があります。反面、体力は確実に落ちていき、仕事の需要も難しい中、これからの時間をどう過ごしていけばいいのか、不安にかられる人が多くいることも事実。これからの自分を待ち受ける運命に気づき、自分の心や大切な人たちとどう生きていくか?「青森の神様」として知られる木村藤子さんによる、あなたらしい人生を生きるための道しるべ。
※この記事は『神様が教えてくれる 人生100年時代の幸せな生き方』(木村藤子/KADOKAWA)からの抜粋です。
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カルマ
「輪廻転生」という言葉を聞くことはよくあるのではないかと思いますが、この輪廻転生の意味を知ることで、人生を意味あるものにしていくことができると思います。
「輪廻転生」という言葉のもっともわかりやすい説明は、ご存じのように「生まれ変わり」となりますが、重要なのは生まれ変わりの法則やその不思議などではなく、「なぜ転生するのか?」ということです。これについて考えることで、より人生が明確になってきます。
実は私は、若いころは輪廻転生といったようなことは信じていませんでした。知識として知ってはいましたが、私は目に見える現実のほうだけを信じていたのです。しかし、ある出来事をきっかけに、私は自分自身の考えを改めざるを得なくなったのです。
私は30代のころに神様からご利益を授かり、使命を告げられました。授かった透視能力を使い、人の悩みの原因を神様に問い、受け取った回答を相談者にお話ししています。毎日毎日1日中、何十人もの相談に乗り、自分の時間すらないような日々を過ごしていました。人と会うのが嫌で、苦悩しながら仕事をしていたのを覚えています。
当時は寝不足のなか、気力を振り絞るように使命を果たしていました。ろくに食事をとる時間もなかったので、身体はしだいにやせ細り、拒食症の一歩手前のような状態にまでなりました。
神様から与えられたご利益によって、見たくもないものが嫌でも視えてしまうことに、私は苦悩しました。当時の私は視えてしまうことを本心では受け入れることができなかったので、逆に仕事に没頭することで、自分自身を鼓舞するように神様との約束を果たしていました。そのような毎日でしたので、輪廻転生のことなど考えることすらありませんでした。
そんな日々を過ごしていたとき、私の母が病気で入院してしまいました。仕事をなんとかやりくりして、母を助けたい一心で、毎日お見舞いに行っていました。
その日もいつものように母のいる病院に向かいました。すると、病院内でひとりの男性の医師とふと目が合ったのです。そのとき一瞬、言葉にはできない不思議な感覚が私を包みました。しかし、その感覚については深く考えずにその日もいつもと変わらず母を見舞いました。
その数年後、私は自分が乳がんであることを神様から聞き、母が入院していた病院で検査をしました。すると担当になった医師が、以前、母を見舞いに来たときに目が合って不思議な感覚を覚えた、あの医師だったのです。
私は、神様から自分の身体の状態を聞いていましたので、「しこりがあります」とだけ彼に伝えました。彼は不思議に思ったようでしたが、何も言わずに診察を始めました。するとやはり私の身体に異変を感じ、緊急の精密検査となり、入院の手続きをとってくれました。その後は、異例の速さで手術が行われ、ぎりぎりのところで私は助かったのです。
このとき、私はあるメモを思い出しました。
私は、昔から神様との会話を仲のいい従姉妹(いとこ)に話していたのですが、彼女はなんでもメモを取っておく癖があったようで、私との会話も残していました。ずっと前に見せてもらったある日のメモには、このように書かれていました。
『ある日のふじこちゃんの話』5月11日
前世でお前ときょうだいであった者がこの世に生まれてきている。片方は医師、片方は神職として生まれ、人助けをする定めになっている。時代の流れを考えて、神の世界では女性のお前を神職として使うことにした。いずれ、その医師と出会うであろう
自分で従姉妹にこのように話したのですが、何年も前のことだったので、私はこのことをすっかり忘れていたのです。その後も、患者と医師という関係で、病院で診察を受け続けました。
そして、いつものように仕事をしていた、ある日のことです。
突然、目の前にある神様が現れ、〝自分は木村の家の祭神の系列の神である〟と名乗りました。そして、「お願いしたいことがあるから聞いてくれないか」と言われたのですが、あの医師ががんらしいのです。
私は彼とは患者と医師という関係性ですから、プライベートな交流はありません。そんな相手に対して、私の口から「がん」と知らせることなど気が引けて断りましたが、結局は仕方なく、ひとまず神様に言われた通り、彼に手紙を書くことにしました。
彼は私の仕事を知っていましたが、あまりにもショックを受けてしまい、なかなか決心がつかず、すぐには検査をしませんでした。
そして、ようやく決心がついて検査に行ってくれたときは、すでに末期のがんでした。彼は自分の状態を知って私を訪ねてきたときは、「もう骨まで達してきているから、助からない」と、ひどく絶望していました。
私は彼に、神様から聞いた彼と私の運命の話をしました。そしてその後も彼に何度か手紙を書きました。手紙の内容は、カルマのこと、輪廻転生のこと、私と主人の運命の出会いのこと、そして最期まで自分の命を絶つことのないように、命の大切さや希望の話、そして運命について、必死に説きました。
彼はその後、亡くなる寸前まで医師として人を助け、立派に運命を全うして、生涯を終えました。
このようなことをきっかけに、私は輪廻転生を信じるようになったのです。私はそれまでは本当にこの仕事をやりたくなかったのですが、そんな私を神様は、駄々をこねる我が娘を諭すように、根気強く見守ってくれました。
ある日のことでした。
「いくら仕事が嫌だといっても、いつか必ずこの仕事をやり遂げなくてはならないのだ。今、そのつらさから逃げてこの仕事を放棄しても、また輪廻転生して来世に生まれ変わり、人を助ける運命になる」
そう神様は言い、私がこの仕事を放棄した場合の姿を見せました。そして、
「嫌と言わずに機嫌を直し、この世で頑張って神の世界に帰ってくるがよい。待っているぞ」
そう私に言いました。この言葉で、私は自分の運命を全うする決意を固めたのです。
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