「シャープペン」の名前の由来は、大手電機メーカー「シャープ」だった!/すごい技術

pixta_14035375_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●シャープペン

芯を削らずに使えるシャープペン。この名称は、大手電機メーカー「シャープ」の創業者が製品化したことに由来する。

小学校では鉛筆を使うことが奨励(しょうれい)される。だが、普段の生活で鉛筆を使う機会は少なくなった。シャープペンに取って代わったからだ。若者は親近感から「シャーペン」と呼んでいる。

ところで、このシャープペン、カタカナ表記なので欧米生まれとも思えるが、製品として最初に開発されたのは日本である。家電大手シャープの創業者早川徳次氏が開発・命名したもので、今から100年近く前の話だ。最初の製品はノック式ではなく回転式だったといわれる。ノック式が発売されたのは、半世紀後の1960年である。

 

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100円もしないシャープペンも売られているが、そのしくみは精巧(せいこう)だ。指でノブを押す(ノックする)と、チャックが芯を捕まえて押し出す。

押し切るとチャックが開き、一定の長さ以上は芯が出ない。ノブが戻る際は先端にあるゴム製の保持チャックが芯を捕まえ、芯が戻ることはない。これら摩擦(さつ)力の絶妙のバランスで、芯のコントロールがなされているのである。

余談だが、ノックすると出る「カチカチ」は、中のチャックリングが弾かれて壁にぶつかる音である。チャックリングはチャックの動きをガードし、芯をつかむ手伝いをする。このリングが金属性の場合にはいい音がする。

シャープペンの芯(略してシャー芯)は、発売当初、直径が1ミリメートルを超えていたという。普通の鉛筆の芯が用いられたからだ。鉛筆の芯は粘土と黒鉛でできているため、あまり細くはできない。だが、現在のシャープペンの芯は0.5ミリメートル以下と細い。この細さを実現したのが、プラスチック樹脂と黒鉛を原料に用いた芯(樹脂芯という)である。

細い芯に整形して焼き固めて作り、完成後はプラスチックが炭素化するので、炭素ほぼ100%の強い芯ができあがることになる。このとき練り合わせるプラスチックの量で、芯の硬さが決まる。

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。

 

涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

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この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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