あなたは「もみ洗い」派?「たたき洗い」派? 進化する洗濯機/すごい技術

pixta_24417589_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●洗濯機

昭和中期、洗濯機は冷蔵庫、白黒テレビとともに「三種の神器」として憧あこがれの的まとだった。そして現代、新たな進化を続けている。

国産初の噴流(ふんりゅう)式洗濯機が発売されたのは1953年(昭和28)。大卒国家公務員の初任給が8000円に満たなかった時代に3万円近い価格だったが、大ヒットした。それほど洗濯は、主婦にとってたいへんな仕事だったのだ。

ところで、どうして洗濯機で衣類がきれいになるのだろうか。それは、洗剤とのコラボレーションにある。洗濯機は水の動きで衣服の汚れを振り払って落とすので、水に溶ける汚れなら、それだけで落ちる。問題は水に溶けない油汚れである。そこで、洗剤の力を借りるのだ。洗濯洗剤は界面(かいめん)活性剤からできている。これは水になじむ親水基(しんすいき)となじまない疎水基(そすいき)からなる細長い分子からできている。洗濯槽の中では、水に溶けない油汚れに疎水基を突っ込み、親水基部分を水側にする。界面活性剤に覆われると、水に溶けない油汚れは水に溶ける玉になり、洗い流せるのである。

 

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洗濯機は現在、次の3種の形式に大きく分けられる。
噴流式(水流式、渦巻き式ともいう)は水の豊富な日本で普及しているタイプ。水流で洗濯する方式で、「もみ洗い」を擬(ぎ)した洗い方だ。軽くコンパクトにでき、洗面所に置くのに適しているが、水流が強いので洗濯物が絡んだりよじれたりして傷みやすい。

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攪拌(かくはん)式は北アメリカで普及したタイプで、攪拌翼と呼ばれる板を往復運動させて洗濯する方式。「棒でかき混ぜる」洗い方を擬している。一度にたくさんの洗濯ができるが、大型で重くなる。

ドラム式はヨーロッパで普及したタイプ。横向きのドラムが回転して洗濯する方式で、「たたき洗い」を擬している。生地(きじ)が傷まず水量も少なくてすむという利点があるが、洗濯時間は長めだ。また、横向きに安定させるために重い。近年、日本でもドラム式が人気だ。乾燥機と一体の洗濯機が売れているからだ。従来の乾燥機と同様に、ドラム式は乾燥時に風を衣類に通しやすい。今ではメーカーが改良を進め、各方式の欠点は克服(こくふく)されつつある。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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