長寿&速暖ヒーター登場。電気ストーブの人気が再燃/すごい技術

pixta_13957469_S.jpg私たちは毎日身のまわりの「便利なモノ」のおかげで快適に暮らしています。でもそれらがどういう仕組みなのか、よく知らないままにお付き合いしていませんか?

身近なモノに秘められた"感動もの"の技術を、書籍『身のまわりのすごい技術大百科』がわかりやすく解説します!

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●電気ストーブ

寒い季節に家電量販店に行くと、さまざまな電気ストーブが並べられている。どれを買えばいいのか、迷ってしまう。

一般に、暖房器具は伝導型、対流型、放射型の三つのタイプに分けられる。近年、家庭用暖房の定番となったエアコンやファンヒーターは対流型だが、これらの人気に隠れて目立たないものの、電気ストーブもよく売れている。手軽に持ち運べ、暖めたい場所をすぐ暖めてくれる。また、空気を汚さないため、狭い密閉(みっぺい)した場所でも暖をとれる。そんな性質が、家庭用の暖房器具として支持を集めているのだろう。

「昔ながら」の電気ストーブは石英管(せきえいかん)ヒーターを熱源にしている。石英管ヒーターはクォーツヒーターとも呼ばれるが、ニクロム線を石英ガラスの管で覆ったものだ。今はトースターなどの電熱器でよく利用されている。この古典的なヒーターには、暖まるのに時間がかかり、寿命が短いという欠点がある。そこで、これを改良したさまざまな電気ストーブが開発されている。

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石英管ヒーターを改良して寿命を長くしたのがシーズヒーターだ。電気ケトルなどにも使われるヒーターで、10年以上は利用できる。ただし、高価というのが難点だ。

石英管ヒーターの、速暖性に欠けるという欠点を克服(こくふく)したのがハロゲンヒーターである。ハロゲンガスを封入し、タングステンという金属をフィラメント(発熱体)にした石英管がヒーター源だ。スイッチONと同時にすぐに赤く輝き、暖房を始める。しかし、粗悪品による火災事故や、カーボンヒーターなどの登場で人気が下火になった。

カーボンヒーターは、ピュアタンヒーターとも呼ばれて人気を集めている。カーボンフィラメントを不活性ガスとともに石英管に封入したヒーターである。速暖性に優れ、暖かさを感じさせる遠赤外線を豊富に放出する。グラファイトヒーターと呼ばれるストーブもこれと同属だ。gijutsu_p069.jpg

 

カーボンヒーターやグラファイトヒーターなどを遠赤外線ヒーターと宣伝するメーカーもあるが、その定義は明確ではない。ヒーターは、多少なりとも遠赤外線を出しているからだ。

 

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涌井良幸(わくい・よしゆき)

1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。教職退職後の現在は著作活動に専念している。貞美の実兄。


涌井貞美(わくいさだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程修了後、富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。良幸の実弟。


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『身のまわりのすごい技術大百科』

(涌井良幸・涌井貞美/KADOKAWA)

身近なモノに秘められた“感動もの”の技術、一挙解説! 身近な文具から、便利すぎるハイテク機器まで…あれもこれも、すべて「科学技術」の結晶なのです。日ごろよく使う「モノ」の“すごい技術”を図解でわかりやすく解説します。

この記事は書籍『身のまわりのすごい技術大百科』からの抜粋です

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