ついつい糖質過多になっていませんか? 医師・鎌田實さんの考える「コロナ老化」

定期誌『毎日が発見』で好評連載中の、医師・作家の鎌田實さん「もっともっとおもしろく生きようよ」。今回のテーマは「野菜、タンパク質を上手にとって、コロナ老化を防ごう」です。

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ついつい糖質過多になっていませんか?

新型コロナのパンデミックが始まってから、外食の機会は減り、家での食事が多くなりました。

家族の食事を毎食作っている人は本当に大変だと思います。

ある調査によると、コロナ禍で家庭で食べることが多くなったのは、チャーハン、炊き込みご飯、焼きそば、お好み焼きだといいます。

なるほど。

比較的簡単にできて、おなかいっぱいになり、しかも財布にもやさしい。

特に、子どもがいる家庭では、とても重宝するメニューです。

けれど、これ単品の食事が続くと、糖質過多になり、食事のバランスがあまりよくありません。

血糖値や血圧が上がるおそれもあります。

中高年はこれをプラスアルファして、健康に注意しましょう。

とにかく野菜をたっぷりとろう

食事が糖質に偏りがちな人は、まず野菜を多めに組み込むことが大切です。

たとえば、焼きそばならば、キャベツを麺の2倍くらい使います。

キャベツは炒めているうちにかさが減るので、食べるときにはあまり違和感はありません。

キャベツに限らず、ニラや玉ねぎ、ピーマン、きのこ...何でも入れてください。

また、毎食を作るのが大変というときには、ときにはカップ麺だってかまいません。

でも、そのままいただくのではなく、乾燥わかめを加えてお湯を注いだり、カット野菜をレンジでチンして、出来上がったカップ麺の上にのせて食べることをおすすめします。

野菜は、1日350g とることが推奨されています。

野菜ジュースや、野菜たっぷりの具だくさん味噌汁、スープも上手に活用しましょう。

タンパク質はこまめにとる

日本人の多くはタンパク質が不足しています。

特に、高齢者はその傾向が強いので、意識してタンパク質をとることが大切です。

しかし、肉だけでタンパク質をとろうとするのは大変です。

魚や卵、乳製品、大豆製品などからこまめにとることがコツになります。

たとえば、鎌田家のお好み焼きは、小麦粉を粉豆腐に替えます。

粉豆腐は、もともと高野豆腐なので、タンパク質が豊富です。

亜鉛や鉄なども含まれているので、健康維持には強い味方です。

とてもおいしいです。

もっと手軽にタンパク質をとる方法として、佐賀県で広く展開している溝上薬局の研究室と共同で商品を開発しました。

植物由来のプロテインと魚由来コラーゲンが配合された、「こまめにたんぱく 」という出汁風味のプロテインです。

味噌汁に入れてもいいですし、チャーハンなどの炒め物にも使えます。

また、プロテインが豊富な乳飲料やヨーグルトなども商品化されています。

こうした商品を上手に活用するのもおすすめです。

卵を一つ加えるとバランスがよくなる

卵はタンパク質が豊富な優れた食品です。

糖質が多いなと思ったら、卵を一つ加えるとバランスがよくなります。

ゆで卵や味付け卵を常時冷蔵庫に入れておいて、運動した後に一つ食べるだけでタンパク質が吸収され、筋肉が効率的に修復されると言われています。

卵はかつて、とりすぎるとコレステロール値が増えると言われ、1日1個までと言われていましたが、数年前から食事による制限はなくなりました。

ぼくは、長野県で健康づくり運動をしていたころから、卵が好きな人は1日2個でも3個でも食べてかまわないと言ってきました。

実際に卵を1日3個食べている人たちの血液検査をしてみましたが、コレステロール値は上昇していませんでした。

卵には、もう一つ注目すべきことがあります。

それは、認知機能の維持によいとされるコリンが含まれることです。

認知機能の低下が気になるという人も、卵のコリンに注目してみてください。

魚は、青と赤を意識する

アメリカのタフツ大学は、魚を週2回食べる人は、月1回しか食べない人に比べてアルツハイマー型認知症の発症が41%減少すると発表しています。

サバやサンマ、イワシなどの青い魚には、健康によいDHAやEPAというオメガ3脂肪酸がたくさん含まれていることはよく知られていますね。

だから、ぼくはお寿司屋さんに行ったときには、青い魚を頼んでいます。

同時に、赤い魚も意識しています。

というのも、サケ、カニ、イクラなど赤い魚に含まれるアスタキサンチンは脳血液関門を突破して脳細胞に直接働き、脳細胞の酸化を防ぐと言われているからです。

筑波大学の研究では、アスタキサンチンの摂取と軽い運動によって記憶力が高まる可能性があることがわかりました。

発酵食品とネバネバで腸を整える

チーズ、ヨーグルト、味噌汁、キムチなど多種類の発酵食品をとることで腸が整います。

腸は免疫と深くかかわっているので、自然免疫力をよくすることができます。

コロナ時代の今はうってつけです。

食物繊維も腸を整える働きがあります。

なかでも、オクラや昆布などネバネバした食物繊維は血糖値の上昇も防ぐので、ぜひ頻繁に食べたいものです。

わが家では、マグロのぶつ切りに、ゆでた刻みオクラ、長芋の細切り、納豆を添え、えごま油と少量のしょうゆをかけて食べています。

全部混ぜてご飯にのせてもおいしいです。

新型コロナの自粛生活は、じわじわと健康をむしばみ、老化を加速させます。

毎日の食事をほんの少し健康を意識し、楽しく食べるようにしましょう。


頭と体を同時に働かせる運動「コグニサイズ」は、脳によい刺激を与えます。いくつかあるうち二つをご紹介します。

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まず(1)右足を前に出して戻す。次に(2)左足を前に出して戻す。(3)右足を横に出して戻す。(4)左足を横に出して戻す。これを1から順に数を数えながら繰り返します。そして3の倍数のときには手をたたきましょう。

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ももあげをしながら、右手と左手でじゃんけん。常に右手が勝つようにします。

【まとめ読み】気づき満載! 鎌田實さんの記事リスト

 

<教えてくれた人>
鎌田 實(かまた・みのる)さん

1948年生まれ。医師、作家、諏訪中央病院名誉院長。チェルノブイリ、イラクへの医療支援、東日本大震災被災地支援などに取り組んでいる。『だまされない』(KADOKAWA)など著書多数。

【カマタのこのごろ】

4月1日、小学校高学年から中学生に向けた新書の新しいシリーズが刊行されました。その第一弾として、『相手の身になる練習』(鎌田實著、小学館)が発売されました。子どもたちだけでなく、学校の先生、保護者、祖父母にも読んでいただきたいと思います。意外に教わることの少ない、相手の身になる方法やその効用について書いていますので、ご自身も読んで、お孫さんたちにプレゼントしてあげてください。


■鎌田實先生の新刊

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『鎌田式「にもかかわらず」という生き方』

(鎌田 實/宝島社)

1,260円+税

■鎌田實先生の書籍

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『鎌田實の人生図書館』

(鎌田 實/マガジンハウス)

1,400円+税

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『それでも、幸せになれる 「価値大転換時代」の乗りこえ方』

(鎌田 實/清流出版)

新型コロナウイルスにより、人々や社会の価値観は大転換する。災害も含め苦難の多い時代、それでも、私たちは幸せになれる。コロナに負けない生き方、新しい幸福の形とは? 第2波、第3波、そして災害への心の準備は万全ですか?

■「認知症予防」をもっと詳しく知りたい人は!

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「図解 鎌田實医師が実践している 認知症にならない29の習慣(朝日出版社)

今回、鎌田先生が紹介してくださった「認知症予防」が詳しく解説されている最新刊! 医学的に正しい認知症予防の方法が、豊富なビジュアルとともに紹介されています。
「速遅(はやおそ)歩き」「青魚、えごま油、高野豆腐を食べる」「新聞から4つの単語を選ぶ」など、無理なく日常生活で実践できる習慣がわかりやすく解説されています

■鎌田實先生の特集が一冊の電子書籍に!

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「ぼくは67歳で筋トレを始めてから、人生が変わった!」と話し、ご自身を「スクワット伝道師」という鎌田實先生(71歳)の健康法を大公開。「スクワット」や「かかと落とし」など無理なくできる「筋トレ」の方法をはじめ、ゆで卵やジュースなどの「若返りごはん」レシピ、「心の若返り方」や、若々しい先生の「着こなしの極意」まで、盛りだくさん。保存版の一冊です!!

この記事は『毎日が発見』2021年5月号に掲載の情報です。
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