のべ8000人以上を指導したメンタルコーチ・新井慶一さんは、仕事や人間関係、恋愛、さらにはお金まで「99%の人が会話で損をしている」といいます。会話がうまくなれば人生は好転するという新井さんの著書『100%得する話し方』(すばる舎)には、その極意「相手に9割話させる話し方」のメソッドが盛りだくさん。今回はその中から、厳選したヒントを連載形式でお届けします。
ほめるところがない人なんていない
「ホメホメ合いの手」の話をしていると、時折「嫌なところばかりで、褒めるところがない人もいませんか?」と質問されることがあります。
>「あざとい・・・」を超える破壊力! 誰もがあなたと話したくなるキラーフレーズ
断言しますが、そんな人はいないです。
もし、相手の悪いところしか見えないのだとしたら、それは、あなたがマイナス要素にだけフォーカスするレンズをかけてしまっているからです。
心理学的に言うと、マイナスのバイアスがかかった状態で人を見ているときは、マイナスの情報しか受け取れないようにできています。
いっぽう、プラスのバイアスをかけた状態で人を見ているときは、プラスの情報がどんどん入ってくるというわけです。
私はいつも、「人のいいところを見つけてやろう」という宝探し精神で人と接しているため、あまり人の悪いところは見えません。
そして、宝探しをして歩いていると、たまに落とし穴にハマっても、「まあしゃーないか」くらいの気持ちにしかならないのです。
こんなことを言うと、「性格がいいですアピールかよ!」と思う人がいるかもしれませんが、そういう話ではありません。
自分がラクして喜ばれて、ラクしてありがとうと言われて、ラクして幸せになるにはどうしたらいいかを考えた末に編み出した技なのです。
そしてこの次に必ず聞かれるのが、「人の悪いところを見ないようにしていたら、騙されませんか?」という質問です。
たしかに、人のいいところばかり見て、なんでも「へええ」「ほおお」と言っている人は、一見騙されそうな気もします。
でも、逆なんです。
人は、自分のことを無条件に信頼してくれる人のことは、意外と裏切れないものです。
自分のことを「いい人だ!」「素敵な人だ!」と絶賛してくれる人の前では、人はなぜかいい人になろう、素敵な人になろう、もっと褒めてもらおうという心理が働きます。
ですから、本当は腹にどす黒い気持ちを抱えている人だったとしても、こちらが無邪気に、
「へええ」
「ほおお」
「そんなの、初めて聞きました!」
「めっちゃ素敵です!」
と言っていれば、本当に「そういう人」として、接してくれるようになるのです。
私が「得する話し方」を教えた生徒さんのなかには、これでパワハラ上司を撃退した人もいます。
パワハラ上司って、誰に対してもパワハラしているわけではありません。
Aさんには厳しいけれど、Bさんには意外と優しかったりします。
つまり、人間は、人格がひとつではないのです。
ということは、その人のなかにある「良い人格」にスポットライトを当て、その人格をフォーカスしてあげれば、その人は(あなたにとって)ずっといい人でい続けてくれるようになります。
なぜなら、自分を認めてくれる人には「この人にはいいほうの人格で接しよう」と思うからです。
もしみなさんに苦手な人や、この人1ミリもいいところないやと思う人がいたら、一度でいいから宝探しをしてみてください。
意外と、大きな宝が眠っていたりするかもしれませんよ。
【得する人がやっている話し方】
相手のいいところを認めて褒めることで、「良い人格」で接してくれるようになる
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相手に好かれる合いの手や聞きたいことを引き出せる質問術など43のコツが全5章で紹介されています