のべ8000人以上を指導したメンタルコーチ・新井慶一さんは、仕事や人間関係、恋愛、さらにはお金まで「99%の人が会話で損をしている」といいます。会話がうまくなれば人生は好転するという新井さんの著書『100%得する話し方』(すばる舎)には、その極意「相手に9割話させる話し方」のメソッドが盛りだくさん。今回はその中から、厳選したヒントを連載形式でお届けします。
結局、会話の舞台から降りて、照明を当てる人が一番得をする
私は前回、99パーセントの人は、人の話を聞かず、自分が何を話すかばかりを考えていると言いました。
【前回の記事を読む】他人の話を真剣に聞いているのは1000人に1人!?
これは、たとえて言うなら、全員が舞台にのぼってセリフを言おうとしている状態なのです。
しかし、ここで考えてみてください。
自分のことを話したい人すべてが舞台にのぼってしまったとしたら、果たして誰が演技を見るのでしょうか?
誰が舞台上の人に照明を当てるのでしょうか?
誰もが話したい、あるいは話さなきゃいけないと思っているいっぽう、誰かが観客になり、誰かがスポットライトを当てる必要があります。
その役をあなたが買って出たとしたら......。
あなたが観客席からステージに向けてスポットライトを当てる役を演じてみたら......。
そう、ステージ上の役者たちは、みんな観客席にいるあなたに向かって必死に演技をし始めます。
つまり、多くの人が舞台に上がりたがっているからこそ、自ら舞台を降りて役者にスポットライトを当てる照明マンが際立つのです。
そして、私が見るところ、舞台の上に立ちたい人のほうが圧倒的に多い。
どんなに見積もっても、9割の人は舞台の上に立ちたい人なのです。
そこで、あなたが9割の人と逆のことをやる1割の人になればどうなるのか?
人は、自分にスポットライトを当ててくれる人に向かって大事な話をします。
人は、自分にスポットライトを当ててくれる人を好きになります。
そして、その人に恩を返したい気持ちになります。
これを心理学では、「返報性の原理」と呼びます。
つまり、あなたが、相手を持ち上げ輝かせようとすればするほど、相手もあなたを勝手に引き上げ評価してくれるのです。
自分は何もしていないのに、なぜだか得する。
これが、「100%得する話し方」の神髄なのです。
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