のべ8000人以上を指導したメンタルコーチ・新井慶一さんは、仕事や人間関係、恋愛、さらにはお金まで「99%の人が会話で損をしている」といいます。会話がうまくなれば人生は好転するという新井さんの著書『100%得する話し方』(すばる舎)には、その極意「相手に9割話させる話し方」のメソッドが盛りだくさん。今回はその中から、厳選したヒントを連載形式でお届けします。
人と比較して落ち込みがちな人は、絶対自分にスポットライトを当ててはいけない
「人と会うのが嫌いで、いつもストレスだった」と話してくれたのは、クライアントさんのご紹介でお会いした40代女性Fさんです。
「お金もないし、人脈もないし、いつも先のことばかり考えて不安になっていました。周囲に対してもイライラしてばかり。『人の役に立ちたい』という人が、偽善者っぽくて苦手だった」と言います。
彼女のように、人と会うのが苦手、会話も苦手という人は、少なくありません。
そして、このタイプの人は、どうやら自分と人とを比べることで不安になってしまうことが多いようです。
実際、私の生徒さんのなかではMさんも同じタイプでした。
「人と話をすると、あの人はすごい。それに比べて私は......と、つい自分を落としてしまう思考のクセがあった」
彼女も、学力・能力・職種・お金など、自分の根っこにしぶとい劣等感があったと言います。
こういうときこそ、「得する話し方」の出番です。
人と自分を比べてしまうのは、その人が相手と同じステージ上に立ってしまっているからです。
ステージを自ら降り、スポットライトを当てる役に徹することで、人と比べる癖がなくなります。
私がFさんとMさんに言ったのは、「えらい人なんていない。誰かと自分を比べた時点で負けが確定します」でした。
そもそも、個性というものに、上下があるわけではありません。
ただ性質が違うだけで、個性の総合点は互いに100点で、イーブンです。
それを意識した上で、Fさんにも、Mさんにも、話し手にスポットライトを当てる練習をしてもらいました。
具体的には、相手にスポットライトを当てながら、いいところは褒め、嫌なところはスルーする。
そして、スポットライトは相手にだけ当てる。
「●●さんに比べて自分は......」と、決して自分にスポットライトを向けない。
この練習がきっかけとなってFさんもMさんも、「自分は相手に比べて劣っている」という劣等感を持たなくなったと言います。
さらにFさんは、派遣社員から独立することができて、今では大好きな犬と戯れながらのんびり稼げているというから驚きです。
Mさんも同様です。
「すごい人は確かにいるけれど、自分自身も素晴らしいと思えるようになりました。おかげさまでどんなすごい人の前でも、普通に会話できるようになりましたし、私には私にしかできないことで、人を幸せにできるという自信が持てました」
「得する話し方」は、人と比較するステージから降りることで可能になります。
結果的に、誰からも好かれ、自分の心も安定する。
いいことづくめの会話術なのです。
【得する人がやっている話し方】
スポットライトは話し手だけに当てる。決して自分に向けてはいけない
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