誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
報告の有無は、信頼の有無
上司が部下に対してイライラすることの一つに「報告してくれない」ことが挙げられます。
ここには2つの意味が含まれています。
・聞かないと報告してくれない
・結果を先に報告してくれない
報告に対してナーバスになる上司の思いは、
「期限に間に合わないとまずいのに、大丈夫なのかなあ」
「軌道修正が必要であれば、早めに指示を出したいのに」
「ギリギリになって手が打てなくなったら、最終責任は自分なんだよなあ」
上司には、部下の状況を把握する役割と責任があるのです。
仕事をしていく上で、報告の有無は、そのまま信頼の有無に繋がります。
「上司は忙しそうだし、そこまで言わなくてもいいか」と迷う内容でも、ないよりはあったほうが上司も安心です。
私は、報告をしすぎて叱られている人を見たことがありません。
タイミングを見計らい、小さなすきま時間を狙ってでも報告をするのが気遣いです。
「細かさ」よりも「結論」を最優先とはいえ、忙しい上司が多いのも事実。
どんな内容を、どのような順番で言うかはとても大切です。
たとえば、こんな報告をしている人が意外と多くいます。
私がCAの頃に、よくあった事例です。
「チーフ、報告してもよろしいでしょうか。Aの席のお客様ですが、お子様をひざに乗せた状態で前のテーブルを出していたので、テーブルが斜めに傾いていて、テーブルに乗せていたお茶入りの紙コップがあったのですが、お渡ししたときは蓋をしてお子様にお気をつけくださいと言いお渡ししていたのですが、蓋を外したままにしていまして、そのときに急にお子様が脚をバタバタしはじめて......」
このような報告をしていると、「結果から言ってください!飛行機が着陸してしまいますよ」と言われます。
「お客様がお茶をこぼされた」という報告なのですが、最後まで聞かないとどんな状況なのか全くわかりません。
報告を受けているチーフは、スピーディに判断をして指示を出したいのです。
「報告は細かく言わないと伝わらないのではないか」という、報告する側の思い込みがありますが、忙しい上司にとっては「細かさ」よりも「結論」が優先されます。
相手が安心する「報告の形」とは?
報告の基本は、「相手の知りたいこと(結果)から先に、簡潔に伝える」こと。
この場合なら、
1.お客様がお茶をこぼされましたが、やけどはありません
2.黒い洋服なのでシミもわかりません。隣の人にもかかっていません
3.原因はお子様をひざに乗せた状態でテーブルを出し、お子様が脚をバタバタさせたことです
4.サービス時には「お気をつけて」という言葉とともに蓋をしてお渡ししました
つまり、
1.結果
2.それに伴う影響
3.原因
4.事前に対処していたこと
このような順番で伝えていくことが妥当です。
上司への気遣いの基本は、こまめな報告。
仕事が終了するまでの間の「経過報告」は、しっかりと行いましょう。
そして、何よりも伝える順番を押さえておくこと。
報告は「相手の知りたいこと(結果)から先に、簡潔に」。
これさえできていれば、相手が安心する報告ができるでしょう。
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元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します