誰もが抱える仕事や人間関係の悩み。キャビンアテンダントでの経験から人材教育の講師に転じた三上ナナエさんは「全ては気遣いでうまくいく」と言います。そこで、三上さんの著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』(すばる舎)から、自分の魅力をアップし、対人関係もスムーズにする気遣いスキルを連載でお届け。自信をつけて「相手から信頼される気遣い」を身につけてみてはいかがでしょうか。
仕事はできるのに人間関係でつまずく
私の友人で、頭の回転は速いのですが、思ったことを直球で相手にズバッと話してしまう人がいました。
裏表のない信用のおける人で、個人的には好きでしたが、いつも職場の人間関係に悩んでいました。
「はっきり言っちゃうからよく誤解されるんだよね。長い付き合いの人はわかってくれるんだけど......」
ビジネスシーンにおいては、気長にじっくり付き合ってくれて、自分の良さを時間をかけて見極めてくれるなんてことは非常に稀です。
ときには、最初の印象だけで「この人は感じが悪い!」と見切られてしまう可能性だってあります。
ビジネスにおける評価は、とてもシビアなのです。
気遣いができないと、総合評価は「ゼロ」
私が尊敬する先輩に、「いくら仕事が速く正確にできても、感じが悪いと思われたら評価はゼロになる可能性がある」と言われたのを思い出します。
つまり、人間の評価は総合力。
各能力は、かけ算であって足し算ではない。
どこかが「ゼロ」だと、結果「ゼロ」になってしまうこともあるのです。
どんなに高い事務処理能力があったとしても、気遣いができないだけで「ゼロ」の評価を下されることだってあります。
仕事は一人で進めることはできません。
「感じが悪いから、あまり関わりたくない」と思われたら、まわりの協力を得られないだけでなく、いずれ孤立して、仕事が立ち行かなくなるでしょう。
でも、私は無理して感じを良くしろと言いたいわけではありません。
ほんのちょっとの気遣いで、「感じが良い」とまわりに信頼される人もいれば、ちょっとの気遣いができないばかりに「感じが悪い」と見放されてしまう人もいるということを知っておいてほしいのです。
元ANAのCAで4500回のフライトを経験した著者が会話や見た目などシーンごとに使える37の気遣いのコツを全5章で解説します