貯金が少ないから老後が心配...多くの人が抱える将来の不安。そんな時代に、「お金がなくても幸せになれる」と言うのは70代の牧師・ミツコさん。著書『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(すばる舎)の中では、その暮らしぶりを伝えています。今回は同著書から、ミツコさんが感じた仕事のやりがいや日常の感動など、人生を充実して過ごすためのヒントをお届けします。
死は怖くないけれど、介護で迷惑をかけるのは避けたい
来年から後期高齢者になる74歳の今、将来に不安を感じることはありません。
母や教会の高齢の方の姿を見て、人間はこんなふうに老いていくんだなと、教えられました。
クリスチャンの考え方では、私たちはこの世では旅人。
生きているということは、天国へ向かっての旅の途中です。
死は神様の元への旅立ち。
終わりではなく、死は始まりと考えます。
自分は生かされている。
この命は神様から預かったもの。
死や病気は自分の力でどうにかなるものではありません。
神様から天に召されるとき、人の命が尽きるのです。
だから、今暮らしていけるだけのお金があれば、備えはいらない。
この世は、天国へ向かっての旅の途中なのだから、生きているのにどうしても必要なもの以外は、持たなくていいと考えます。
今までずっと精一杯の暮らしをしてきたので、蓄えはありません。
保険にも入らない主義です。
保険に入ると、安心して病気になってしまうケースを、多く見てきたこともあります。
保険には頼らない。
頼るのは神様だけ、浮気はしないと思っています。
ただ、学資保険には入りました。
教会員で郵便局にお勤めの人がいたからで、4人の娘たちの学費として、少額ですがそれぞれ積み立てをしていました。
そのお金で、娘のひとりは高校時代に楽器を買い、少し残ったお金を高校卒業後の進路の学費の足しにしていました。
死や病気は自分の力ではどうにかなるものではないし、神様にすべてをお任せしているので、死ぬのはこわくありません。
体が衰えていくことも、人間として自然なこと。
それはそれで受け入れます。
ただ、介護が必要な状態となって、子どもたちに迷惑をかけるのは、できる限り避けたい。
とはいえお金に余裕がないから、スポーツジムに通ったり、健康食品を買ったりしようとは考えません。
やっているのは、食事に気をつけ、運動をし、規則正しい生活を送るなどごく普通のことです。
そして、仕事などでできるだけ外に出て、人と話すようにしています。
年齢なりの小さな不調はときどきありますが、元気で楽しい毎日を送っています。
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74歳の牧師がつづる、一人暮らしの老後生活。健康管理法やお金の価値感などについて全6章で紹介されています