貯金が少ないから老後が心配...多くの人が抱える将来の不安。そんな時代に、「お金がなくても幸せになれる」と言うのは70代の牧師・ミツコさん。著書『74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる』(すばる舎)の中では、その暮らしぶりを伝えています。今回は同著書から、ミツコさんが感じた仕事のやりがいや日常の感動など、人生を充実して過ごすためのヒントをお届けします。
70歳からは公営住宅にひとり暮らし
夫が主任牧師の間は牧師館つまり教会に、辞任してからは教会近くのマンションに住んでいました。
家賃は教会に出してもらっていたので、なるべく教会に負担をかけないようにしたいと考えていました。
そして、2015年に夫と二人で住むために公営住宅に応募しました。
翌年に公営住宅に入れる通知が来たのですが、その1カ月前に夫は亡くなっていました。
その後、単身世帯用の部屋に入居する許可がおりて、現在の住まいに引っ越しました。
1Kの小さな部屋ですが、ひとりで暮らすには十分です。
かつての住まいから数駅離れた場所です。
人生で何度も引っ越しをしてきたので、ここにずっと住みたいといったこだわりはなく、高齢になって住まいが変わることへの抵抗もまったくありません。
住んでいる公営住宅は、最寄り駅から歩いて5分ほどの場所にあり、静かな環境で住みやすいです。
周りには大きなスーパーがあるので、買い物も便利です。
今でも週2回教会に通っており、自治体が運営するシルバー人材センターの仕事をするなど、出かけることも多いので、交通の便がよくて助かっています。
夫が亡くなり寂しい気持ちもありますが、今はひとり暮らしを満喫しています。
今まで夫がいて、子どもたちがいて、教会員がいてと、常に周りに人がいる生活。
実際に、牧師館にプライバシーはほとんどありません。
とくにわが家は、住まいがそのまま教会である時期が長かったので、リビングのドアを開けると教会員がそこに立っていた、ということが何度もありました。
そんな生活も、それはそれでもちろん楽しくて充実していました。
でも、好きなときに昼寝をしたり、ご飯を食べたりできる、ひとりの家での時間が貴重だなと思えます。
私は「幸せの98%は大変なこと」だと思っています。
たとえば「お子さんやお孫さんがたくさんいて幸せですね」と言われることがあります。
本当にその通りなのですが、反面、大人数の食事を作ったり、お産の面倒をみたりと大変なことが多いのも事実。
すごく幸せなことだけれど、労力的には大変です。
でも、2%の幸せはとても深いのです。
ひとり暮らしの今は、その大変なことはありません。
人と喧嘩することもない、マイペースで平和な日々です。
でも、逆に2%の深い幸せもなく、少し物足りない日々なのかもしれません。
とはいえ、いまだに教会に定期的に通ったり、老人ホームや病院にいる高齢の親族や教会員を訪ねたり、まだ小さい孫を預かったり、シルバー人材の仕事も週3日あったりで、毎日忙しくしています。
そして、住んでいる公営住宅の自治会の役員の順番が回ってきて、それを担当させてもらっています。
体を動かして働くことが好きなので、充実した毎日です。
【まとめ読み】「74歳、ないのはお金だけ。」記事リストはこちら!
74歳の牧師がつづる、一人暮らしの老後生活。健康管理法やお金の価値感などについて全6章で紹介されています