劇団四季などの衣装クリーニングを手掛け、今話題になっているプロ集団・洗濯ブラザーズ。「正しい洗濯をすれば、自宅でほとんどのものが洗える」という彼らの著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)から、「正しい洗濯のやり方と知識」をお届けします。
日本の洗濯機は節水モード。水の量は多めに設定しよう
水の量が少ないと、汚れが繊維にもどってしまう
クリーニング業に携わっている人たちの間で、よくこんな言葉が交わされます。
「家庭では、キレイなすすぎはできないからね」
すすぎに対する本気度が、プロと家庭とでは大きく違います。
何が違うのかというと水です。
水の質と、水の量。
近ごろ、「オゾン水」という特別な水で洗うクリーニング屋も増えてきました。
オゾン水は、それ自体に殺菌・漂白効果があり、洗浄力の高さと、繊維へのやさしさを兼ね備えている理想的な水です。
ただし、家庭でこれを真似るのは、とても難しいです。
高額な設備が必要です。
でも、水の量なら変えられます。
ほとんどの人が、全自動洗濯機を使っていると思います。
全自動洗濯機は洗濯槽にセンサーがついていて、洗濯物の重さと体積を測って、自動で水の量を計算し、スタートボタンを押すと水がジャーッと流れてきます。
とても便利ですが、「汚れをしっかり落とす」という観点では、この便利さが仇になっていると言わざるを得ません。
なぜなら、日本の洗濯機は自動的に節水モードになっているからです。
ボクらプロから見ると、圧倒的に水の量が足りないのです。
節水はとても大切なことですが、洗いの段階で水が少ないと、汚れがしっかり浮き上がってくれません。
さらに、肝心なすすぎのときに水が不足していると、せっかく離れた汚れが、また繊維に戻って(!)しまいます。
部屋干しのイヤな臭いや、黄ばみ、黒ずみは、このせいで起こります。
だからプロは、水量の設定をすごく大事にしています。
ここが本洗いのいちばんのポイントです。
家庭用の洗濯機なら、基本設定より水量を一段階上げるか、いっそ満水にしてもいいくらいです(洗濯物が少ない日も、です)。
そうすると洗濯槽の中で服がよく動くので、汚れがしっかり落ちてくれます。
またドラム式洗濯機はすすぎのとき水が少ないので、すすぎの設定を「注水」にするのがおすすめです。
ふつうは洗濯槽にたまった水ですすぐのですが、注水は、新しい水をどんどん注ぎ入れながらすすいでくれるので、そのぶん使用する水が多めになります。
時短コースはオススメできません
ボクたちは以前、洗濯機の各メーカーさんに電話して、水量設定の根拠をヒアリングしたことがあります。
ところが、どのメーカーさんも明確な根拠がありませんでした。
「節水」を追求するあまり、理想の洗いやすすぎについての研究は二の次なのかな、という印象を持ちました。
言うまでもありませんが、洗濯機は「洗濯」のためのものです。
汚れや臭いが落ちない、黄ばみや黒ずみになりやすいなど、洗濯に少しでも不満があるなら、これからはちょっとめんどうでも、自分で水量を多めに設定してほしいと思います。
洗濯機の時短コースは、ふつうの設定よりさらに水量を少なくしていることがあるので、とくに気をつけてください。
すすぎの回数自体は増やす必要はありません。
ほとんどの洗濯機がすすぎ2回の設定になっていると思います。
使っている洗剤に「すすぎ1回」と書いてあったとしても、すすぎは2回にするのが理想的です。
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