ちょっとした段差が恐い、若いころより歩くスピードが落ちたと、最近「歩く」ことがつらいと感じていませんか? その原因の多くは、O脚などが引き金となって起こる「ひざの違和感」によるものとされています。
そんな人に、ぜひ注目してもらいたいシューズが発表されました。
全国で約3000万人の患者がいると言われる「ひざトラブル」に着目し、歩きながらひざの負担を和らげてくれることを目指して開発された機能シューズ「KNEESUP(ニーズアップ)」です。
いったい、どのような効果が期待できるのでしょう?
ひざへの負担を軽減してくれる機能シューズ「KNEESUP」とは?
2018年9月から発売が開始されたKNEESUPは、靴メーカーのアシックス商事が手掛けるウォーキングシューズ「RaKUWaLK(ラクウォーク)」ブランドの新シリーズです。
ひざのトラブルに着目し、その痛みを和らげてくれる機能シューズを産・学・医が共同で研究開発。O脚などによるひざ関節の内反(足裏が内側を向き、外側だけが地面に着いている状態)に伴って起こる「ひざの負担」を軽減できるウォーキングシューズとして誕生しました。
アシックス商事、京都橘大学、角整形外科医院(福岡県八女市)が共同で開発したKNEESUP
他のウォーキングシューズと最も違う点は、靴底の内側にあります。
「MCCS(※1)」というクッション機能がかかとの内側にあり、体重を乗せたときにたわむことで、足裏全体が内側へと傾きます。すると、歩くたびにひざ関節も内側に誘導され、外に広がってひざにかかっていた負担が軽くなるというものです。
※1)Medial Cushion Control System:特許出願中
KNEESUPの靴底にある空洞(MCCS)が歩くたびに内側にへこみ、ひざの負担が軽減される
ひざのトラブルは、高齢者で女性、さらにO脚で太っている人ほどなりやすいとされています。
しかも、患者数は全国でおよそ3000万人いると予測(※2)。つまり、日本人の約4人に1人がひざの悩みを抱えており、誰もがなる可能性があるということです。
※2)平成20年厚生労働省「介護予防の推進に向けた運動疾患対策についての報告書」より
ひざのことを第一に!開発した大学教授が抱くKNEESUPへの思い
研究開発に協力した京都橘大学 健康科学部 理学療法学科の村田伸教授は、「ひざにトラブルを抱える人は世の中に多い。だから、ひざに特化したシューズを開発したいと考えました。構想からおよそ3年半。KNEESUPは、履いて歩くことで、普段の生活をスムーズにするウォーキングシューズです」と、その思いを語ります。
2019年9月27日に開催された国際福祉機器展(東京)で、KNEESUPの意義とその機能を解説した京都橘大学の村田伸教授
ひざのトラブルの原因の一つとされるO脚は、太ももとくるぶしをくっつけたときに、ひざもくっつけば正常とされており、もし、指一本分でも広がっていればO脚と考えてもいいそうです。
「高齢者はもとより、O脚になる恐れがある40歳以上の中高年にも、もちろん若い方にも履いてほしい」と村田教授。
ただ、KNEESUPを実際に履いて歩くと分かりますが、数百メートル歩いたところで、脚やひざに劇的な変化を感じることはありません。
村田教授は、「KNEESUPはあえて、歩き方が少し変わる程度の機能に留めました。可能な限りの機能を全て詰め込んでしまうと、もしかしたら体の他の部分に弊害が出てしまう可能性があるからです。それでも、一日中履いて歩けば、その効果はきっと感じられます」と続けます。
それに、KNEESUPを履いたからといって、変形してしまったひざ自体が治るわけではありません。でも、実際に履いた人からは、「階段の上り下りが楽になった」「家事の動きが楽になった」という感想が多く集まったといいます。
レディースとメンズ、それぞれカジュアルタイプ、アクティブタイプがあり、全24カラーが発売している
これは、KNEESUPによって歩行機能が高まり、普段の暮らしの中で行う動作が楽になるということ。
KNEESUPは、ただ履くだけではその良さは分かりません。履いて、歩いて、暮らしてみると、きっとその効果が実感できるはずです。
「KNEESUP」は、レディース、メンズ合わせて全7タイプ、24カラーが発売中。メーカー希望小売価格は¥12,000~¥15,000(税別)。インターネットショップほか、靴専門店などで販売しています。
取材・文・写真/中村某