いまだに人気が衰えない「塩麴」。塩麴は、旨味をプラスし、塩やしょうゆを使うより少量の塩分でおいしく料理を仕上げてくれる"減塩調味料"です。料理研究家で管理栄養士の村上祥子さんに、塩麹の「3つの健康効果」について教えてもらいました。
健康に貢献してくれる塩麴
塩麴は米麴と塩と水で作られています。米麴の中の麴菌は60℃近い状態で分裂増殖を始め、酵素を分泌し、米の栄養成分を分解していきます。この一連の流れが「発酵」です。
麴菌が発酵過程で分泌する酵素のうち、とくに代表的な消化酵素にアミラーゼ(穀物のデンプンをブドウ糖に変える)やプロテアーゼ(米に含まれるたんぱく質をアミノ酸に分解する)があります。塩麴には、ほかにも100 種類以上もの酵素が含まれていることが分かっています。
また、体作りに欠かせない必須アミノ酸9種、人間が生きていく上で代謝を支えるビタミンB群も含まれます。そして、美肌効果を発揮するグルコシルセラミドという成分が発見されたという報告もあります。
塩麴に含まれる塩分は同量の塩と比べると約1/4。多くの酵素を含み、素材のうま味を引き出すので、少量の塩分でもおいしく感じ、手軽に減塩できる調味料です。
また、肉や魚が柔らかくなり、素材に味もしみ込みやすくなります。麴には食品の保存性を高める働きがあるので、食材を漬けるのもおすすめの使い方。何種類か市販品を使って好みの塩麴を見つけましょう。
手軽に使える塩麴をもっと活用して、おいしく、体の元気のもとになる食事を作ってみませんか?
■塩麹の3つの健康効果
その1 疲労回復を早める
発酵過程でアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなどの消化酵素が分泌される。
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肉や魚が柔らかくなるほか、野菜などもうま味が増す。消化吸収を助けて疲労回復を早める。
その2 免疫力を高める
塩麴は日本人の腸に向いているといわれる植物性発酵食品。
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腸内環境を改善するように働きかけ、免疫力を高め、生活習慣病の予防に。
その3 減塩効果
うま味や素材の味を引き出す効果が高い。
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塩麴を塩の代わりに使うと塩分量を抑えることができ、なおかつおいしい。
取材・文/石井美佐 撮影/中野正景