いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。
苦手意識を消去します!
私には「人前で書類を書くのが苦手」という意識があって、銀行などで「書類を記入してください」と言われて書くと、いつも「あ、間違えた!」と見事に銀行員のお姉さんの前で恥をかいてしまいます。
人がいなくても、指定の枠に住所や名前を記入するだけで、「間違えちゃダメ!」というプレッシャーから、「また間違えちゃった!」となり、「本当に苦手意識って嫌っ!」と思ってしまいます。
苦手意識を持っていると、まさに「意識」が働いて「苦手だから失敗しちゃうかも」とか「苦手だから間違えちゃうかも」という不安をご丁寧に現実にしてくれます。
「苦手意識を克服しよう」と意識すればするほど、意識は失敗させる方向に働き、「苦手意識がちっとも克服できない」なんてことになりがちです。
そんな時は、苦手意識を消去する方法を使ってみましょう。自分で自分に対して「暗示」をかけて意識を働かなくすれば、意識は失敗させることができなくなり、「あれ?苦手意識がいつの間にかなくなった」という感じになります。
自己暗示のかけ方は「苦手だな」と感じた時に、「苦手意識は私を謙虚にしてくれるもの」と思ってみるというもの。
例えば先の例で言うと、人前で書類を書く時に「苦手意識がある」と思ったら「この苦手意識は私を謙虚にさせてくれるもの」と思います。
その瞬間に「あれ?緊張がなくなったかも!」となり、字がスラスラかけるようになります。これは種を明かすと、現代催眠療法の「リフレーミング」というテクニックで、枠組みを変えて捉える、という手法を使っています。
「間違えたらどうしよう?」と頭の中がパニック状態でどんどん緊張が増していって失敗していたのが、いつの間にか頭の中が静かになり、「おー、一字一字丁寧にかけるかも!」となるから面白いんです。
謙虚になると上司がただのおじさんに見えてくる?
ある女性は「上司と一対一で話すこと」に苦手意識がありました。
上司を前にすると緊張してしまい、頭が真っ白になって指示されたことがちゃんと頭に入ってこなくなっていたのです。
そして、いつも失敗しては、上司から「なんで言ったことがちゃんとできないんだ!」と怒られます。するとまた緊張して、それが上司にはふてくされたような態度に見え、結果的に上司との関係をどんどん悪くしていってしまいました。
その女性は、このままだと「仕事が続けられないかも」と思い、「この苦手意識は私を謙虚にしてくれるもの」という自己暗示を使ってみることにしたのです。
はじめは「謙虚ってなんのために?」とあまりピンとこなかったそうですが、とりあえず「上司と会うのが嫌だな」と思ったら「この苦手意識は私を謙虚にしてくれるもの」と思ってみるようにしました。
すると不思議と「あれ?ちょっと緊張していないかも?」となりました。
上司から指示を出される時も「この苦手意識は私を謙虚にしてくれるもの」と頭の中で唱えます。すると今度は「この上司もただのおじさんじゃない!」とまるで電車の中のおじさんを見ているような感覚で接することができ、話も適当に聞き流せたそうです。
これまでは「ちゃんと聞かなきゃ!」と思って緊張してしまい、話を聞き逃して「あちゃー!」となっていたのが、「ただのおじさん」と思えるようになると自然と力が抜け、話が聞け、そして緊張することなく仕事ができるので、最終的にはミスもなくなりました。
その女性は「何であの言葉だけで上司がただのおじさんに見えたの?」と不思議がり、私に質問してきました。答えは極々単純で、ただ「苦手」とばかり考えていると「自分で克服しなきゃ」となって意識的になってしまいます。
でも「この苦手意識は私を謙虚にしてくれるもの」と唱えたら「誰がそれをしてくれているの?」となります。その「誰が?」というのが「無意識」。「自分で克服しなきゃ!」と意識的になっていたのが、この言葉で「無意識に任せよう」と自然と思えるようになり、意識で見ていた世界と違った風景を無意識が見せてくれるのです。それが彼女の場合は「ただのおじさん」であったというわけです。
4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています