上手に気遣いしながら、つい「いい人」になって、ツラくなってしまっている人いませんか? そこで、カウンセリング歴25年、8万件を超える臨床経験のカリスマ心理カウンセラーの最新作『「ひとりで頑張る自分」を休ませる本』(大嶋信頼/大和書房)のエッセンスを、連載形式でお届け。脳科学と心理学に基づいた「自分中心」になる生き方で、周囲も自分も輝かせる秘訣をご紹介します。
あえて「他人の力」に乗っかる
「いい人」をやめる方法で「他人の力」に乗っかる、というのがあります。
「いい人」は、何事も自分で考えて、一人で周りの人のために動かなければ、という状況に自然となってしまいます。
結果的に、「なんで自分一人がこんなに頑張らなければいけないんだ!」という状況になるのですが、「いい人」だから「かわいそうなみんなを、自分がなんとかしてあげなければ」と思ってしまいます。
「いい人」は、「かわいそう」「なんとかしてあげなきゃ」と思って「いい人」を演じているのですが、「恒常性」があることで「いい人」とのバランスを取ろうと、周りは「いい人」の足を引っ張る役割を演じるようになってしまいます。
そこで「いい人」が「他人の力」に乗っかれば、「いい人」を演じる必要がなくなって「みんなすごいから助けなくていいかも!」と思えます。
「他人の力」に乗っかる、とは具体的にどうしたらいいのか。
それは、「いい人」を演じる前に「相手に率直な質問」をすればいいんです。
「自分がなんとかしなきゃ!」と思うようなことがあったら、それに関わっている人に「このことについてどう思う?」と、相手を誘導せずに率直にきいてみます。
すると「あ!相手の中にちゃんと答えがあるんだ!」ということがわかって、感動します。
相手の答えに感動したり、関心を示したりすると「おー!相手の力が発揮されている!」というような感じで、相手の力に乗っかることができるようになるんです。ある女性が保護者会で「いい人」を演じてしまって「どんどん損な役割を負わされてしまってやりきれない!」という状態になってしまいました。
そんな時に「他人の力に乗っかる!」と、頭の中で唱えてみます。
すると「あれ?頭が真っ白になって何も考えられない!」という不思議な状態に陥ります。
そして、周りのお母さんたちに「あれ?これってどうやるんだっけ?」と一人で抱えないで素直に質問できます。さらに「あなたは天然だから、私がやってあげるよ!」と、他のお母さんたちが彼女の仕事を勝手にやってくれます。
いわゆる「天然キャラ」状態になっているみたいで、気が付いたら「私の役割を周りのみんながやってくれるようになった」と申し訳ない気持ちにもなります。
でも「一人でやるよりもみんなの力でいいものができた!」となって、みんなのキラキラした笑顔がとっても嬉しく感じられるようになります。
別の女性は職場で「いい人」を演じてしまっていて、定時に家に帰れない日が続いていました。
みんな家族があって早く帰りたいだろうから、「いいよ!」と二つ返事で仕事を引き受け、一人で仕事をこなしていました。
すると、次から次へと関連したことを引き受けなければならなくなり、いつの間にか「なんで私だけこんなに大変なの!?」となってしまったんです。そこで「他人の力に乗っかる!」と唱えてみます。
すると「疲れているかも?」と急にフラフラするように思えて、「あ!その仕事、私がやりますよ!」と同僚が手を貸してくれます。
さらに仕事をちっともしない上司が「あなたは早く帰ったほうがいいよ!」と、抱えていた仕事を全部振り分けてくれて、定時で退勤させてくれるようになります。
「こんなに明るいうちに家に帰るって、気持ちいいものなんだ!」と感動して、初めて「自由」を感じられるようになりました。
もちろん「いい人」がムクムクと顔を出して「みんなに申し訳ない」という罪悪感が出てくるのですが、「他人の力に乗っかる!」と唱えてみると「みんなすごいからいいか!」と、仕事を任せて生き生きとした生活が送れるように変わっていったんです。
第3章「自己肯定感をジャマする万能感を捨てる」、第6章「『嫌われる』が怖くなくなる」など、「いい人」をやめたくてもやめられない人のための「目からなうろこ」のメソッドで、心が晴れる一冊です