縁起物の代表格である「松竹梅」。コース料理や福袋などでもよく見かけますが、なぜ「松竹梅=縁起が良い」とされているかご存知でしょうか。
"松竹梅"のルーツを辿れ!
7月5日放送の「チコちゃんに叱られる!」(NHK)では、「松竹梅=縁起物」となった理由を解説。江戸川大学名誉教授・斗鬼正一先生によると、松竹梅は「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」がもとになっているといいます。
歳寒三友とは、平安時代に中国から伝わった絵のテーマのこと。歳寒は寒い冬の季節を指し、三友は冬に友とするべき3つの植物を意味します。いろいろな植物の組み合わせが描かれましたが、中でも「松・竹・梅」の3つが定番でした。
しかし歳寒三友が日本に伝わった当時、松竹梅にはまだ"縁起物"というイメージはなかったそう。まず「松」が縁起物となったのは、歳寒三友が伝わった頃と同じ"平安時代"。松は「樹齢が長く」「冬でも青々としている」ことから、長寿祈願のシンボルとして縁起物になったといわれています。
それから約600年後の"室町時代"には、竹も縁起物の仲間入りすることに。室町時代に入ると茶道や華道が流行り、茶室や庭園に竹が多く使用されてイメージがアップ。竹は「広く根を張り」「冬でもすくすく伸びる」ため、子孫繁栄のシンボルとして縁起物になりました。
一方「梅」が縁起物になったのは、"江戸時代"の頃。「体に良く」「寒さの中で花を咲かせる」梅は、生命力の象徴として縁起物になります。
つまり「松竹梅は縁起が良い」と認知されたのは江戸時代が始まり。その影響で松竹梅を描いた歳寒三友の絵が"縁起の良い絵"として大ブームになり、「松竹梅=縁起物」というイメージが定着したそうです。
日本人はなぜ「3」が好き?
めでたい植物として選ばれた"松竹梅"。思い返せば松竹梅だけでなく、相撲の三役や三色団子など私たちの周りには「3」が多いですよね。では日本人はなぜ「3」にこだわるのでしょうか。
その疑問について解説したのは、今年6月放送の「新説! 所JAPAN」(フジテレビ系)。日本人の「3」好きの理由は、意外にも"和食の世界"に隠されていました。
日本料理店「銀座うち山」の店主・内山英仁さん曰く、和食の世界では"奇数が縁起の良い数字"といわれているとのこと。「4」や「8」といった割り切れる数字は、「切れる」「割れる」というイメージに繋がるので縁起が良くありません。そのため刺身や小鉢も、三種盛りや三点盛りが多くなっています。
また心理学の世界では、こんな面白い見解も。一見判断しやすいと思われがちな2択ですが、決断を強く迫られている気分になるのでかえって選択しづらいと感じてしまいます。そこであえて選択肢を3つ設けることで、選択しやすくなるそう。様々な場面で松竹梅などの3択を見かけるのも、その影響のひとつです。
これにはネット上も「なるほど~、思わず納得!」「『3』にこんな深い意味があったとは...」「三本締め、三色ペン... 確かに3って多いかもね」などの反響が続出。普段何気なく見聞きしているものでも、深掘りしていくと面白い発見があるかもしれませんね。
文/藤江由美