刺身はなぜ「刺す身」と書くの? 刺身が「切り身」と名づけられなかった深いワケ

日本の食文化を代表する「刺身」。幅広い世代から好まれている刺身ですが、皆さんは刺身がなぜ"刺す身"と書くのかご存知でしょうか。今回は、刺身に隠された驚きのルーツをご紹介します。

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"刺身"の原点は「膾(なます)」?

6月7日放送の「チコちゃんに叱られる!」(NHK)では、刺身を"刺す身"と書く理由が明らかに。食文化史研究家・永山久夫さんが、刺身の知られざる秘密を教えてくれました。

永山さんの話によると、刺身の由来を語る上で外せないのが「膾(なます)」とよばれる料理。「膾」とは川魚を細切りにし、お酢につけて食べる料理を指します。川魚の生臭さを解消するため、細切りにしてお酢をつけたことが膾の始まりでした。

ところが室町時代に、膾の作り方に大きな革命が起こります。その革命というのが、「醤油」の誕生。醤油の深いコクと香りは生臭さを十分に打ち消したため、人々は魚を分厚く切り始めるように。醤油の誕生を機に、魚の食感と味わいを楽しむようになったのです。

やがて細く切った魚は「膾」、大きく切った魚は「刺身」と命名。江戸時代の書物にも、膾と刺身の違いは"大きさ"だと記載されています。ではなぜ"切り身"ではなく、「刺身」と名づけられたのでしょうか。

刺身が誕生した時代は、ちょうど戦国時代の初期頃。武士が強い力を持っていた戦国時代では、死を意味する「切る」を名前に使うことはタブーでした。同時に当時は刺身を箸で刺し、手で触らないようにカットしていたそう。そこで「切る」と同じくらい重要だった「刺す」という動作から、「刺身」と名づけられました。


10円の魚が約180倍の価値に変わる新技術!?

刺身にまつわる豆知識は他にも。今年6月に放送された「林先生の初耳学」(TBS系)では、刺身の美味しさを保つ大革命をクローズアップ。価値の低い魚を一瞬で高級魚に変える、魔法のような最新技術が紹介されています。

たとえば港で取り引きされる値段が1kg10円の魚でも、新技術を使うだけで1,600~1,800円の価値に。魚を約180倍の価値に変える秘密は、魚を処理する時に行う「血抜き」と「電気」に隠されていました。

「血抜き」とは生きた魚から血を抜き、身の劣化を防ぐ処理方法のこと。しかし従来の血抜きでは、どうしても毛細血管に血が残ってしまいます。残った血からは腐敗の元となる"酵素"が発生し、魚特有の生臭さが残るように。

そこで活躍するのが、"バッテリーに繋がれた2本の電極"。電極の先端を魚に当てて電気を流し、AEDの要領で魚の心臓を動かします。心臓が動くと、毛細血管に残った血が外へ。完璧な血抜きによって鮮度の劣化を遅らせることで、旨味のピークをキープさせていたのです。

この新技術には林修先生も初耳だったようで、思わずビックリ。ネット上でも「新技術が画期的過ぎる!」「時代は進んでいるんだね」「どれだけ味に差が出るのか食べてみたい」など反響が続出していました。

"刺身"に隠された歴史と現在の新技術。次に刺身を食べる時は、ぜひその奥深さを感じてみてはいかが?

文/藤江由美


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