いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。
緊張のスイッチが壊れると...
私はこれまで「意識的に生きていない人がうらやましい」と思って生きてきました。
いつも「ちゃんと勉強をしなければ!」とか「片付けをしなければ!」「人に嫌われないような言動をしなければ!」と意識してしまいます。そして、意識すればするほど「ちゃんとできない!」となっていつも最悪の結果になっていたのです。
一方で、そんなこと考えず、意識的にならない人は「なんであんなにスムーズに人生がうまくいくの!」とうらやましく思え、「何が違うんだろう?」とずっと悩んでもきました。
ただ、いろいろな研究やカウンセリングの症例の中であることが見えてきたのです。
それは「どうしてずっと緊張している人がいるの?」という研究です。あるラットの実験で、生まれてすぐに母親から引き離された子ラットをしばらくして群れの中に戻すと「仲間の中に入れない!」という状態になるのですが、これを読んだ時に「まさに私のことじゃん!」と驚きました。要するに、普通の子ラットは緊張状態になった時に、母親のぬくもりを感じ、安心することで脳の緊張のスイッチのオン・オフが適切に働くようにセットされていきます。
だから、群れの中で仲間のぬくもりを感じると、緊張のスイッチが切れてリラックスでき、「みんな仲間じゃん」と群れの中に入っていけるようになるのです。
一方、母親から引き離されたラットは、ぬくもりを感じることもなく、緊張のスイッチのオン・オフがうまく働かなくなって、結果、群れの中に戻しても他のラットを「仲間」と感じられず、常に緊張状態となってしまいます。
緊張=意識状態
リラックス、というのは何も考えないでいい状態ですが、緊張していると常に脳が働いていろんなことを考えてしまう「意識状態」になると考えられます。
唾液でストレスの値を測る装置を使って「幼少期に母親から温かく抱きしめられなかった」という方々のストレス刺激検査をしてみると「あっ、ストレスの値が上がらなきゃいけない場面で上がらない」ということが観察できました。
緊張のスイッチがうまく働かなくなっているので、緊張しなくていい場面で緊張してしまい、意識的になり、そして肝心な場面(ストレス値が上がるはずの場面)で緊張のスイッチが切れ、「力が入らなくて何もできない」となってしまうのです。
また、脳の緊張のスイッチが壊れていると、常に緊張していて脳が過剰に活動してしまいます。私のケースで見ると、脳の中で将来の予測をする役割を持つ前頭連合野が過剰に活動し「先のこと考えすぎ~!」となって、いつまでたっても決断ができないかと思ったら、肝心な場面で前頭連合野が活動しなくなり「ちゃんと論理的な判断ができなさすぎ!」となってしまい残念な結果になってしまっていたのです。
つまり、緊張のオン・オフのスイッチがうまく機能しないことによって、緊張しなくていいところで緊張し、脳が過活動を起こし、考えなくてもいいことを考えてしまうと苦しくなる。こうして「意識的」という状態が作られている可能性があるのです。
その他の:「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本の記事はこちら!
4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています