最悪の事態も...カウンセラーが警鐘「良かれと思ったひと言の怖さ」

いろいろと気にしすぎていつも失敗ばかり...意外と多くの人が持つこの悩み、実は「自意識」が原因なんです!臨床件数約8万件の有名カウンセラー・大嶋信頼さんの著書『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(あさ出版)から、過剰な自意識を抑え、人生をラクにしてくれる「無意識」の使い方を連載形式で紹介します。

最悪の事態も...カウンセラーが警鐘「良かれと思ったひと言の怖さ」 pixta_22818426_S.jpg

よかれと思う気持ちが意識を呼び覚ます?

ある授業で教授が次のようなケースを紹介してくれました。

母親が、子供に対して「○○ちゃん喉渇いたんじゃない?」と水を飲ませます。こうして常に子供の状態を察して水を飲ませる、ということを繰り返していた母親が、ある時それをしなくなったら、その子供は脱水症状を起こして死んでしまいました。

なんという衝撃の結末でしょう。

依存症の治療の仕事をするようになって、私はこの恐ろしい現象を目の当たりにします。その男性は、アルコール依存症に悩んでいました。話を聞くと、家でお酒を飲む時は、必ず奥さんが「お酒はそれぐらいにしたほうがいいんじゃないの?」と心配してストップをかけていたそうです。

それを何度も繰り返しているうちにその男性は「量のコントロールが利かない!」となって重度のアルコール依存症になってしまい、結局、お酒を飲み続けて内臓をやられ、亡くなってしまいました。

お母さんや奥さんは「よかれと思って」お水を提供したり、お酒の量をコントロールしてあげようとします。しかし、脱水症状を起こした子供や依存症の男性は、それを意識すればするほど自分の身体に適切な水分量やお酒の量のコントロールができなくなり、挙句の果てに亡くなってしまう。

この事実は本当にショックでした。「意識させる」って本当は怖いことなのだ!とその時実感したのです。

意識は楽しさも奪う

また、意識は楽しいという感覚も奪ってしまいます。

例えば、親から「なんでちゃんと勉強しないの!」と言われ続けて、勉強に集中できなくなるのがそれです。親から「勉強しなさい」と言われて"勉強"ということを意識させられればさせられるほど、本人の学ぶことへの「知的好奇心」のような感覚がまったくなくなってしまって「勉強は苦痛なもの」になってしまいます。

「仕事がちっとも楽しくない!」と相談にきた人のケースでも同じような現象が起きていました。その人は職場のお局様から「あなた、ミスしないように気を付けてチェックしてね!」といつも言われていたそうです。

しかし、そう言われてしまうとその人は「ミス」を意識してしまいます。意識したとたんに「チェックするのが面倒くさい!」と思うようになったそうです。すると、お局様から「また、あなたは」と怒られ、「ちゃんと意識してチェックして!」とダメ押しされる悪循環。

結果、その方は「目標を達成する」「ノルマを達成する」といった仕事に対する達成感のような感覚が"意識"させられることで奪われ、「ちっとも仕事が楽しくない!」と思うようになってしまいました。

いわば意識的なお局様によって、仕事の達成感を奪われて、楽しさを感じることができなくなっていたのです。

ちなみにその方は、カウンセリングでお局様と気持ち的に距離を置くことができるようになると、意識から解放されて「あ、仕事ってこんなに楽しかったんですね」と気付くことができ、みるみる表情も明るくなりました。

お互いが意識しあうことで最悪の結果も!

仕事が楽しくなくて、「自分は社会的に死んでいる」と感じ、追いつめられる人は本当に多いです。意識によって「楽しい」という感覚を奪われ、社会で生きていくのが苦痛で仕方ないとなってしまうのです。

ただ、先のお局様も、水を差しだしていた母親のように「教えてあげないとこの子が大変なことになっちゃう!」と意識的に後輩をサポートしていただけで、その人を「意識的にさせて追いつめてやる」などと考えていたわけではないでしょう。実は、お局様のほうも「何とかしてあげなければ......」と意識すればするほど、感覚が麻痺してしまっていたのかもしれません。

人から意識させられることで感覚が麻痺してしまうと、まともに生きられなくなる。逆に、人を意識することで知らず知らずのうちに相手の感覚を潰してしまって、最悪なことが目の前で起こってしまう。

意識って本当にものすごい威力を持っているのです。

その他の「「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本」記事リストはこちら!

最悪の事態も...カウンセラーが警鐘「良かれと思ったひと言の怖さ」 気にしすぎて表紙.jpg

4章にわたり、人間関係や仕事などテーマごとに悩みを解決できる「無意識」の使い方が解説されています

 

大嶋信頼(おおしま・のぶより)

心理カウンセラー。株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役。カウンセリング歴25年、臨床件数8万件以上。米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒。短期療法であるFAP療法(Free from Anxiety Program)を開発し、トラウマのみならず多くの症例を治療している。ベストセラーの『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)他、著書多数。

64274269e0c6bcf80bd55a4a780f3ef9fe1ce68f.jpg

『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』

(大嶋信頼/あさ出版)

フジテレビ「ノンストップ!」で紹介された話題の本。「周りの目を気にしてしまう」「知らない人と話すのが得意じゃない」、悩み多きあなたの人生をラクにする超簡単な認識法を、約8万件の臨床件数を誇る人気カウンセラーが伝授。

※この記事は『「気にしすぎてうまくいかない」がなくなる本』(大嶋信頼/あさ出版)からの抜粋です。
PAGE TOP