人気料理研究家に聞く「花やフルーツのある暮らし」とは

毎日の暮らしに彩りを添えたいとき、「家の中に花やフルーツを飾るんですよ」という管理栄養士・料理研究家の村上祥子さん。ちょっとしたことで日々の生活や気持ちが豊かになる楽しみ方をお聞きしました。

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ふだん食べる果物もステキなインテリアに

私が所帯を持った昭和30年代は、高度成長期のど真ん中。モノとお金をどのくらい持っているかが、その人への評価の基準になる時代でもありました。
そんな風潮の中で、義妹を嫁に出し、子どもを育てているうちに、人はモノより「生活」― その人がどんな暮らしをしているか― で8割方決まる、と思うようになっていきました。

家の中に花やフルーツを飾るのも、その一つ。部屋が明るくなります。爽やかな香りが漂い、心が和みます。
生け花を習ったことはありませんが、コップにチューリップを挿して窓際に。お隣から頂いた大島桜の小枝を一輪挿しに入れて仏壇に。何もなければ庭で摘んだミントの葉をブーケのように束ねて食卓に。
ちょっと張り込んで、あじさい、百合、蘭などを花屋さんで見繕ってカラフルに大瓶に入れることも......。

コップなどはいいのですが、大きな壺や花入れでは毎日水を替えるのが大変です。
そこで活躍するのが、歯周病予防の薬用マウスウォッシュ。私が使っているのは、ミント(ハッカ)油をアルコールで薄めたものです。水1リットルに2~3滴入れるだけで、夏場でも1週間くらいは水を替えなくても傷みません。

ただし、生花は毎日水を吸い上げて蒸散するので、1日1回、口の細い水差しで水を補給します。ハッカ油そのものを差せばさらに効率が上がるかと思いきや、濃過ぎて花にダメージを与えるようです。

フルーツは色が美しいので、少しずつ、多種類を飾ります。りんご、梨、柿、みかん、黒ぶどう、マスカット、バナナ、キウイなど、彩りを考え、絵を描くように、据わりの良いりんごや梨は下に、ぶどうは上にと、大皿に何種類ものフルーツを飾り付けます。部屋におくと、ぽっと日が差し込んだような温かさが生まれます。

ジャムを作るために求めた紅玉りんごをふきんで磨き、しばらく山盛りにして飾っておくのもかわいいし、大分から届いた名産の青いカボスをサラダボウルに入れるのもシックです。その後はマーマレードにして詰めた瓶を積み上げて眺め、友人、知人に......。
パパイヤとレモンを盛り合わせても、これはすぐ食べられるので楽しいものです。

生花と同じように、フルーツは飾りにもなり、いい香りも放ちます。
器は塗りの盆、平鉢、壁に飾っている絵皿、ざるなど......、お気に入りのものなら何でもOK。大きめの方がダイナミックで、インテリアとしても効果的です。

 

撮影/江口 拓

 

 

村上祥子(むらかみ・さちこ)さん

管理栄養士・料理研究家。電子レンジ調理の第一人者。本誌『毎日が発見』の料理ページでおなじみ。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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