25年前、単身日本にやってきたポール・スミザーさん。以来、第2の故郷となった日本各地を飛び回り、昔ながらの里山風景を手本に無農薬で庭づくりをしています。「そこに生きる植物たちには、たくましく健気な命の物語がある」と話すスミザーさん。今回は、7月初旬の庭で「生き方を教えてくれる6つの植物」について、語ってもらいました。
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山梨県北杜市。イギリス人ガーデナー、ポール・スミザーさんの庭には、多くの植物が植えられています。「植物は、人と同じように生きるためにがんばっている。それぞれの生き方に教えられることがたくさんあるよ」というスミザーさん。「例えば、7月初旬の庭ではね...」と、6つの植物について教えてくれました。
カライトソウ
「庭の名脇役。サッカーでいうならスーパーサブ。かれんな花は1輪だけでは目立たないけれど、初夏から秋まで咲き続け、気付けばそばにいて静かに庭を彩っている...。縁の下の力持ちの大事さを感じさせてくれるんだ」
ルドベキア
「草丈は2m以上に成長するのに、キャベツのような青味がかった葉は下の方に付いていてね。そこにできた空間にはほかの植物が生きる。そう、自分と違う誰かと仲よく共存するのが上手なんだ」
ミスカンサス
「たくさんの細葉は、太陽の光を体のどこかで受け止めるため。葉が堅いのは水分が蒸発しないように。生き抜くために、自分の体の形を変えて勇気ある進化をしってきたんだから、すごいよね」
アサマフウロ
「1花に5粒しか付かない貴重な種を、果実をバネのようにして、自然豊かな山奥に飛ばすんだ。それは、自分の子孫が生きられる場所を少しでも広く確保するための技。準絶滅危惧種になっているけれど、生きる力はいまもたくましい」
イブキジャコウソウ
「芳香と殺菌力から料理にも使われるタイムの日本自生種。その香りで蝶を誘う一方、害虫を遠ざけることもある。自分がもっている個性を存分に使って、ありのまま生きる姿がとても潔いね」
ノアザミ
「たんぽぽのように柔かい綿毛に包まれた種を付けるノアザミ。その目的は軽い綿毛で風に乗ること。種を少しでも遠くに飛ばすのは、やっぱり子孫が生きる場所を広く確保するためなんだ。あっぱれだよね」
萌木の村 ナチュラルガーデン
紹介している景色は、一般公開されているポールさんの庭の一つ。春夏秋冬の景色を楽しめます。
住:山梨県北杜市高根町清里3545
電:0551-48-3522
時:10:00~18:00(5~11月)
10:00~17:00(12~4月)
休:なし
料:入場無料
取材・文/飯田充代 撮影/木下大造