捨てて売ってモノを減らして、ふと気づく・・・45歳の人気モデル・香菜子さん「とるに足りないものこそ私の栄養になる」

仕事にお金、住まいなど、これからの暮らし方に悩むことも多い40代。日々を楽しむために、「自分が大切にしたいことを暮らしに取り入れて、いらなくなったものをなくしている」と言う人気モデルでデザイナー、母でもある香菜子さん。今年で45歳を迎えた彼女が、40代からの暮らし方をまとめたフォトエッセイ『毎日、無理なく、機嫌よく。』(すばる舎)から、気持ちを軽くして日々を過ごせるヒントを連載形式でお届けします。

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とるに足りないもの

生活に直接は必要ないけれど、あると満たされるものと、生活に本当に必要なものの割合......。

わが家にあるものの、その割合ってどれくらいだろう?

ある日ふと、そんなことを思ったのは、散歩の途中で見つけた1枚84円の昔のチェコのマッチラベルを2枚買ったあと。

1枚が掌に収まるほどの大きさで、印刷の色合いや少しざらっとした無骨な紙の質感、デザイン、どれもがツボでした。

何に使うかわからないし......と思い直し、一度は商品棚に戻したものの、やっぱり好きだなあ。

近くに置いておきたいという気持ちが勝り、レジに向かいました。

40代を迎えてから、意識してものを減らすようになりました。

年末に着なくなった衣類をフリマに出したり、本を減らしたり。

近頃は「もう人生の半分は過ぎたから、ものも半分に減らす!」なんて豪語しています。

しかし、その実、ものを減らすというのは、なかなか難しいもの。

だって世の中、おもしろいもの、便利なもの、すてきなものがたくさんあり過ぎなんですもの!

作った人の背景やストーリーを知ってしまえば、なおさらです。

食品やそれを調理する道具は、切る作業なら包丁があればいいけれど、もっと効率よく、細かくきれいに切りたいからスライサーを。

よりおいしいコーヒーを飲みたくて、豆から挽いて飲めるようにコーヒーミルを。

道具だけではなく、食材も同様。料理の飾りつけがあるのとないのとでも、見た目の印象が全然違います。

たとえばグラタンを作ったら、そのまま食べてもおいしいけれど、刻みパセリをあしらったら、見た目もきれいで香りもよくなるし、おいしさは数割増しにもなります。

お風呂に入るなら、極論を言ってしまえば、石鹸1個あれば、頭からつま先まで全身洗えるけれど、シャンプーはやっぱりあったほうがいい。

香りはフローラル系よりも爽やかなシトラス系の香り。

自分が動いたときにふんわり好みの香りがすれば、さっきまでのイライラが消えて、隣にいる人に優しくなれるかもしれない。

寒い季節なら風邪をひいてはいけないから、防寒のコート。

2枚ほどあれば交互に着れるので最低限足りるかもしれないけれど、コーディネートを楽しみたいから、ステンカラーのコート、トレンチコート、たまにはハードにライダース......。

ばっちりキマれば、それを着ている自分が好きになる。

不要なものを削ぎ落とす作業は大切だと思ってはいますが、わたしはミニマリストにはなれません。

断捨離して最低限のものばかりでは、それはそれは味気ない世界になることは想像に難くなく、わたしには楽しみがない日々になってしまうのです。

そうすると、とるに足りないものに見えて、実はほぼ100%近くは〝必要なもの〟なんじゃないか?と思えてきました。

ところで最初に出てきたマッチラベル。

買ったはいいものの、実はまだ何に使うかはまったく未定で、時々眺めては、かわいいなあ、と思っているだけなんです。

もしかしたら、今後、自分がなにかデザインや、もの作りをしたときに、色味や質感のヒントを得てアウトプットしているかもしれません。

そのまま真似はもちろんいけないけれど、このデザインを何度も見て、自分の中で消化して細胞まで染み込ませて、無意識にぽっとアイデアが出てきたら、それはわたしのオリジナルになっているはず。

必要最低限のものは消化して排泄して終わりだけれど、プラスアルファの心を満たすものは、血となり肉となり骨になり「オリジナルのわたし」を作る栄養になる。

だから、他人からすると、とるに足りないものに見えるかもしれませんが、わたしにとっては、とるに足りないものは結局すべて、「自分を作る必要なもの」「心が満たされるために必要なアイテム」なのです。

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(左上から右下に)

・ロシアの人にもらった漆塗りの木匙。

・プラスチック製のミニチュア骸骨。

・パリの雑貨屋で見つけたカンバッチ(水色、赤色)。

・鎌倉のお土産屋さんで見つけたミニピッチャー。

・散歩の途中で見つけて買ったチェコのマッチラベル2枚。

・ロンドンで買った消しゴム。かわいいので使っていません。

・方位磁針。

・エストニアで見つけた陶器の人形。服は手作りするそうです。

・陶器のユニコーン。カナダで購入。

・友人が作った木の豆皿とビーズの小物

写真/砂原 文

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106-H1-murinaku.jpg「自分のものさし」「体と心の管理」など、5つの視点で「40代の自分」との向き合い方がわかるヒントが散りばめられています

 

香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。在学中にモデルを始め、1998年に出産を機に引退。2005年、第二子出産を機に雑貨ブランド「LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)」を設立。2008年にイラストレーターとして活動を開始し、モデル業も復帰。2018年には架空のホテル「VILHELMS」を作り、備品などイメージしたプロダクトの制作を開始。著書に『普段着BOOK』(主婦と生活社)、『香菜子さんのおとな服練習帖』(宝島社)などがある。

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『毎日、無理なく、機嫌よく。』

(香菜子/すばる舎)

23歳で第一子を出産し、モデル業を引退。30歳で第二子出産後、雑貨ブランドを設立し、33歳のころからはイラストレーターとして活動。さまざまなことにチャレンジしてきた著者が45歳を迎えた今、母親として、社会人として、日々感じるつらい思いを無理なく受け入れて、人生を機嫌よく楽しめる考え方をまとめたフォトエッセイ。人生の折り返し地点を迎えたあなたの肩の力を、そっと抜いてくれます。

※この記事は『毎日、無理なく、機嫌よく。』(香菜子/すばる舎)からの抜粋です。
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