納豆にオリーブオイルを入れるの⁉ 医師が勧める「発酵食の食べ方」

健康寿命を長く保つために、毎日無理なくできることの一つが「発酵食を摂る」こと。「腸の健康は、元気で長生きにつながります」と唱える腸の専門医、松生恒夫先生に「発酵食の食べ方」についてお話を伺いました。

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腸内環境の改善に発酵食がおすすめ

漬物の「ちょっと酸っぱい」が乳酸菌です。

特に京都のすぐき漬けには多くの乳酸菌があり、3切れ(30g)で一日に必要な植物性乳酸菌を摂れてしまいます。

そのすぐき漬けからは、「ラブレ菌」という特殊な乳酸菌が発見され、腸内環境の改善に役立つと注目されています。

「1日1回は漬物を食べたいですね」と話す松生先生自身、すぐき漬けや千枚漬けなどの漬物が好きで、毎日食べるようにしているそうです。

発酵食品といっしょに摂りたいのが食物繊維です。

食物繊維は、腸のなかをきれいにしてくれるイメージがありますが、近年、腸のなかで発酵することで、腸を活発に動かす働きがあることも分かってきました。

「食物繊維は、野菜や穀物に含まれる消化・吸収されない成分のことですが、腸の健康には重要で、その仕組みが明らかになってきました。食物繊維が腸に入ると、特に水溶性食物繊維に酪酸菌がとりついて分解します。分解の過程で、酪酸が作られ、酪酸は腸を動かすエネルギーとなります。つまり、酪酸があることで、腸が動きを活発にできるのです。腸内の酪酸菌の量を調べることはなかなかできないのですが、腸の動きを活発にしたい人は、水溶性食物繊維を意識して摂るといいでしょう」

松生先生は、気候変化や災害のストレスなどで腸の動きが停滞しやすいことに注目し、新たな養生法を身に着けることで腸の力をアップしてほしいと話します。

「発酵食は食品ですから、食べた全員に同じ効果・効能があるわけではありません。いろいろなものを試して、味の好み、ライフスタイルに合うものを見つけて食事の習慣にしたいですね」

松生先生流「発酵食の食べ方」

納豆

「納豆1パックに、発酵食ではありませんがオリーブオイル大さじ1を入れ、よく混ぜます。納豆には水溶性食物繊維が多く、さらにオリーブオイルに含まれるオレイン酸が腸管内のすべりを良くしてくれると考えられ、腸内環境の改善におすすめです」

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甘酒

「『飲む点滴』などと注目され、スーパーなどで見かける機会も増えました。発酵食を摂りづらくなった現代に、発酵食を補ってくれる良い食品です。米麴と酒かすのものがありますが、お好みで。温めて飲めば、腸を内側からぽかぽかと温めてくれるのも良いですね」

漬物

「野沢菜漬け、韓国のキムチ、ドイツのザワークラウトなど、酸味の強い漬物ほど乳酸菌が豊富に含まれています。2時間程度塩漬けにした浅漬けでも、多少は植物性乳酸菌が摂れますし、野菜も食べられますから、1日1度は食べたいですね」

松生クリニックの症例から

ラブレ菌で便秘患者の下剤使用が減少!

「6カ月以上にわたって下剤を使用している一般的な慢性便秘症の患者さん38人に、ラブレ菌を8週間飲んでもらいました。すると、1日の下剤の使用量が飲む前では3錠以上でしたが、飲んだ後では3錠未満となり、統計的に見て薬が減ることが分かりました。比較的軽症の患者さんを対象とした調査でしたが、食品により薬を減らすことができれば、患者さんの生活の質が上がり、副作用の心配なども少なくなります」

取材・文/三村路子 イラスト/コウゼンアヤコ

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<教えてくれた人>

松生恒夫(まついけ・つねお)先生

1955年東 京生まれ。松生クリニック院長。 医学博士。腸疾患治療の第一人者。『「腸寿」で老いを防ぐ―寒 暖差を乗りきる新養生法』(上 写真・平凡社新書)など著書多数。

61KlpIgjVEL012.jpg「腸寿」で老いを防ぐ一寒暖差を乗りきる新養生法

(松生恒夫/平凡社新書)

今回の特集で「腸寿」についてご紹介くださった松生先生の著作。

不調を訴える人、特に腸のトラブルを抱える人が急増するなか、長寿の要である「腸」を健康に保つためにはどうすればよいかを教えてくれる一冊です。

この記事は『毎日が発見』2020年3月号に掲載の情報です。

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