1000種以上の成分を含み、生活習慣病を予防してくれるコーヒー。では、実際どのような成分があり、どんな飲み方をするとよいのでしょうか? 東京薬科大学名誉教授の岡 希太郎先生に教えてもらいました。
各国で薬として処方された歴史を持つ〝百薬の王〟
近年、病気予防効果のある飲み物として知られているコーヒー。
東京薬科大学名誉教授の岡希太郎先生によると「10世紀頃にコーヒーがエチオピアからアラビア半島に伝わったとき、イスラムの僧院では秘薬として珍重されていたんですよ」。
コーヒーには1000種以上の成分が含まれ、がん、心臓病、脳卒中の三大疾患、動脈硬化、糖尿病、認知症、肝炎などの予防のほか、最近はアルツハイマー病の予防も期待されています。
岡先生が特に注目するのは「ニコチン酸」。
豆の焙煎により生まれるビタミンで、老化防止効果などがあります。
おすすめは一日3杯、深煎りのコーヒーを飲むこと。
毎日の習慣として気軽に続けてみませんか?
コーヒーに含まれる主な成分
ニコチン酸
コーヒー以外にはピーナッツ、キノコなどにしか含まれない成分。
体内で細胞の傷を修復する物質「NAD」に変わり、老化や加齢に伴う病気を予防する。
江戸時代後期、宗谷岬に津軽藩兵士が派遣された際、ビタミンB3不足により浮腫病が多発したが、幕府が運んだコーヒーが命を救った実話も。
クロロゲン酸
ごく浅煎りのコーヒーに含まれるポリフェノールの一種。
抗酸化作用を持ち、美肌効果があるほか、中等度の高血圧を改善して血圧を下げる効果も。
食事中に飲むと食後の急激な血糖値上昇を予防するという研究もある。
ピロカテコール
焙煎中にクロロゲン酸からできる小さなポリフェノール。
活性酸素を消す・抗酸化性たんぱく質を増やす作用があり、白内障予防に期待。
カフェイン
コーヒーの有効成分の代表格。
眠気と倦怠感の解消、利尿作用、脂肪燃焼効果のほか、最近はがんの先進治療にも試用されている。
コーヒー摂取と死因別死亡リスク
構成・取材・文/岡田知子(BLOOM) 撮影/齋藤ジン