99歳に...100歳も!要介護、要支援者の方の短歌を楽しむ/短歌のじかん

心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会「要介護・要支援高齢者の部」

定期誌「毎日が発見」1月号で「90代現役宣言!」という特集がありました。

佐藤愛子さんをはじめ5名の方へのインタビューが掲載されており、読者の皆さんもさすがと思いながら読まれたと思います。

私もそうでした。

以前の記事で、18回目を迎えた「心豊かに歌う全国ふれあい短歌大会」の「介護者の部」の作品を紹介しましたが、今度は同じ大会の「要介護・要支援高齢者の部」から作品を紹介します。

佐藤さんたちに負けていないかもしれません。

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職員の目艶髪艶眉艶(めつやかみつやまゆつや)を
「きれかねぇ」ほめて
始まる良き日

――長崎県 平川スミ子

まずは百歳を超えている作者の歌です。

「きれかねぇ」の方言が楽しいですが、職員さんの若々しさを挨拶代わりにほめて一日をスタートさせるところが心の余裕です。

職員さんも気持ちがいいでしょうね。

介護度3
百歳迎える小指にて
パソコンを打ち会報綴る

――千葉県 石井美奈子

99歳という作者がパソコンを打っていることに私などは驚きます。

会報を打つためのパソコンだそうで、他の方に役立つ仕事をしているのだという喜びが感じられます。

先逝きし父と母とは
どうしている
信じられない吾百歳

――宮崎県 大畑シツエ

亡くなった両親のことをしみじみと想っています。

「あの世でどうしているのかなぁ」と。

そして「自分もあの世に行ってしまっていい年齢なのに、長生きしてもうすぐ百歳になる。

これもきっと両親のおかげだ」と。

「信じられない吾百歳」の呟きのような一言には思わず微笑を誘われます。

最後にもう一首。

90代のユーモアある歌です。

予約なし家賃もなしの燕さん
そんな施設を探してきてネ

――奈良県 西島善子

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<教えてくれた人>

伊藤一彦(いとう・かずひこ)先生

1943年、宮崎市生まれ。 歌人。NHK全国短歌大会の選者。歌誌『心の花』の選者。

撮影/吉澤広哉

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この記事は『毎日が発見』2020年4月号に掲載の情報です。

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