死亡率最悪の脳塞栓症は、なぜ「ノックアウト型」と呼ばれるのか
3種類ある脳梗塞の3つめが、「心原性脳塞栓症」です。心原性脳塞栓症は心房細動によって起こり、「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれる特徴があります。
少し専門的になりますが、心房細動とは心臓の心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気のこと。
心房細動によって心臓の中で血液の流れが滞るようになると、滞った血液がよどんで血栓ができやすくなります。この血栓が血液によって脳の血管に運ばれて詰まることで、脳梗塞が起こるのです。
つまり、心臓が原因で起こる脳梗塞を心原性脳塞栓症といい、ノックアウト型脳梗塞とも呼ぶわけです。
心房細動によってできる血栓は、そのほかの血管にできる血栓に比べると大きいことが多いため、心原性脳塞栓症は重症化しやすい側面があります。
実際、脳梗塞全体では治療法の進歩もあって現在の死亡率は5%程度ですが、このノックアウト型脳梗塞は、7~8人に1人が亡くなっているという統計もあります。前述した2つの脳梗塞に比べて格段に死亡率が高く、極めて怖い病気なのです。
心原性脳塞栓症の大部分は心房細動が原因となって引き起こされますから、予防するには心房細動をいち早く見つけること。自身の手首の脈を測るなど、毎日状態を確認することが脳梗塞を防ぐことにもつながります。
脳と心臓との関係性は密接です。脳の血管にも影響を与える不整脈をいち早く見つけるために、日頃のチェックを欠かさないようにしましょう。