死亡率最悪の脳塞栓症、睡眠中に起こる危険な脳梗塞...3種類の「脳梗塞」に注意しよう

死亡率最悪の脳塞栓症は、なぜ「ノックアウト型」と呼ばれるのか

3種類ある脳梗塞の3つめが、「心原性脳塞栓症」です。心原性脳塞栓症は心房細動によって起こり、「ノックアウト型脳梗塞」とも呼ばれる特徴があります。

少し専門的になりますが、心房細動とは心臓の心房内に流れる電気信号の乱れによって起きる不整脈の一種で、心房がけいれんしたように細かく震え、血液をうまく全身に送り出せなくなる病気のこと。

心房細動によって心臓の中で血液の流れが滞るようになると、滞った血液がよどんで血栓ができやすくなります。この血栓が血液によって脳の血管に運ばれて詰まることで、脳梗塞が起こるのです。

つまり、心臓が原因で起こる脳梗塞を心原性脳塞栓症といい、ノックアウト型脳梗塞とも呼ぶわけです。

心房細動によってできる血栓は、そのほかの血管にできる血栓に比べると大きいことが多いため、心原性脳塞栓症は重症化しやすい側面があります。

実際、脳梗塞全体では治療法の進歩もあって現在の死亡率は5%程度ですが、このノックアウト型脳梗塞は、7~8人に1人が亡くなっているという統計もあります。前述した2つの脳梗塞に比べて格段に死亡率が高く、極めて怖い病気なのです。

心原性脳塞栓症の大部分は心房細動が原因となって引き起こされますから、予防するには心房細動をいち早く見つけること。自身の手首の脈を測るなど、毎日状態を確認することが脳梗塞を防ぐことにもつながります。

脳と心臓との関係性は密接です。脳の血管にも影響を与える不整脈をいち早く見つけるために、日頃のチェックを欠かさないようにしましょう。

 

監修:川嶋 朗(かわしま・あきら)
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授
総合内科専門医・医学博士

1957年、東京生まれ。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学入局。東京女子医科大学大学院、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院、東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授・東洋医学研究所付属クリニック自然医療部門医師を経て現職に。日本初の高等教育機関による統合医療教育を設立。漢方をはじめとするさまざまな代替・伝統医療を取り入れ、西洋医学と統合した医療を手がけている。西洋医学の専門は腎臓病、膠原病、高血圧など。統合医療SDM クリニック院長。

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※本記事は川嶋朗氏監修の書籍『知らないと怖ろしいカラダの新常識100』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。

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