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『知らないと怖ろしいカラダの新常識100』 (川嶋朗:監修/アチーブメント出版)第5回【全5回】
さまざまなメディアを通して、健康情報に触れられる時代。けれど、ちまたに氾濫する情報の中には、真偽のほどが危ういものも少なくありません。
神奈川歯科大学大学院統合医療学講座・特任教授の川嶋朗先生が監修した1冊『知らないと怖ろしいカラダの新常識100』には、最新のエビデンスに基づいた、これまでの健康常識をアップデートする知識がいっぱい。
本書の中から、読者の関心が高い項目を抜粋してご紹介します。
※本記事は川嶋朗氏監修の書籍『知らないと怖ろしいカラダの新常識100』(アチーブメント出版)から一部抜粋・編集しました。
肥満や糖尿病になりにくくなる腸内細菌の存在
同じものを同じだけ食べても、太りやすい人とそうではない人がいます。それは、一人ひとりが持つ腸内フローラ(腸内細菌叢)が、太りやすさに影響しているためです。
近年、肥満や糖尿病には食べすぎや運動不足といった生活習慣的な要因に加え、腸内細菌の関係が指摘されています。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所や早稲田大学などからなる研究チームは、腸内細菌の一つである「ブラウティア菌」が肥満や糖尿病を予防・改善する可能性があることを明らかにしました。
健康な人と肥満や糖尿病の人の腸内細菌を比べたところ、腸内にブラウティア菌が多くいる人は、肥満や糖尿病になりにくい傾向があったとのこと。マウスを使った基礎実験からブラウティア菌が産生する物質が重要だとみられており、今後、肥満や糖尿病を予防する方法の開発につながることが期待されています。
日本人の9割は、腸内フローラの1%以上をブラウティア菌が占めているそうです。それが6%以上になると、BMI値が標準体型かやせ型に分類される人の割合が格段に上がるとの調査結果があり、この菌がある程度いる必要があるようです。
ブラウティア菌を増やすには、特定の何かを食べるのではなく、食事内容を記録して過不足を整えたときが効果的だったとか。多くの種類を食べて栄養バランスをとると、多様な腸内細菌の活性化につながるのです。