大人世代、特に閉経後の女性は代謝が落ちて体重が増えやすくなります。そうなると怖いのが糖尿病のリスクです。今回は糖尿病についての著書もある、玉谷クリニックの玉谷実智夫(たまたに・みちお)先生に話をお聞きしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年12月号に掲載の情報です。
【前回】閉経後の女性は特に注意!ホルモンバランスの変化で高血糖リスクが上昇【専門医・玉谷実智夫先生が解説】
<達人のツボ ①>
糖尿病とBMI値の関係
肥満は糖尿病の大きな要因の一つ。BMI値(体重kg÷身長m÷身長m)が「1」上がると、2型糖尿病にかかるリスクが17%上昇すると報告されています。例えば、身長160cm、体重61.5kgの人が体重64kgになると、BMI値が「1」上昇。2.5kgの増量で糖尿病のリスクがぐんと上がるのです。
1日5食や副菜を添える
「簡単習慣」で予防
血糖値を改善するには、食生活を見直すことが基本ですが、毎月多くの人を診察している玉谷先生はそれが容易ではないことを痛感しています。
しかも「変えた食生活を継続しなければ意味はなく、それが難しい点です」と、言います。
ご飯の量を減らし、食後のデザートや間食は禁止といった指導を最初は守っていても、しばらくすると元に戻り、我慢した分を補うように食事量が一気に増える人も多いそう。
そこで玉谷先生が考案したのが「簡単習慣」のルールです。
「糖尿病の克服には『セルフケア』が重要です。とはいえ、スポーツジムに通うなど、わざわざ時間をかけようとしても続かない方が多くいます。まずは意識を『たった1分』変えることから始めましょう。そんな生活習慣なら、続けられるのではないでしょうか」
高血糖を防ぐには、体内でブドウ糖に変わる炭水化物などの食べ方に注意が必要です。
「効果的なのは、1日の食事を『3食+間食2食』の5食に分けることです。食べる量を小分けにすることにより食後血糖値が上がりにくく、インスリンの分泌も穏やかになります。また『朝食はトーストだけ』『昼食はざるそばだけ』といった単品の食事は避け、野菜や卵などを添えましょう」と、玉谷先生。
ちょっとしたルールを日々守って、正常な血糖値を保ちましょう。
<達人のツボ ②>
血糖値が高くなると免疫力も落ちる
免疫は感染症や病気から身を守り、健康を維持するために欠かせない仕組みです。血糖値が250mg/dL以上になると、免疫細胞の一種「好中球」の働きが弱くなることが分かっています。重度の糖尿病で、脚の傷からばい菌に感染して脚を切断することになるのも、免疫力の低下が関係しています。