大人世代、特に閉経後の女性は代謝が落ちて体重が増えやすくなります。そうなると怖いのが糖尿病のリスクです。今回は糖尿病についての著書もある、玉谷クリニックの玉谷実智夫(たまたに・みちお)先生に話をお聞きしました。
この記事は月刊誌『毎日が発見』2023年12月号に掲載の情報です。
血糖値が高くなると...
2型糖尿病(※)を発症する
↓
放置すると、さまざまな合併症を引き起こす
・大血管障害(動脈硬化)
(脳梗塞、心筋梗塞などにつながる)
・ 細小血管障害(細い血管が傷ついて起こる障害)
(糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症などにつながる)
閉経後の体重増加で
高血糖のリスク上昇
女性は閉経後、女性ホルモン(エストロゲン)が減少して代謝が落ち、血糖値が上がりやすくなります。
「閉経後に代謝が落ちると、食事量は以前と変わらなくても、体重は増えやすくなります。その結果、高血糖の状態となり、2型糖尿病(※)(以下「糖尿病」)のリスクが高くなります」と、玉谷実智夫先生は警鐘を鳴らします。
ご飯などの炭水化物や、甘いお菓子などを食べると、体内で吸収分解されてブドウ糖になります。
ブドウ糖は細胞の栄養源として血流に乗って運ばれ、膵臓から分泌されるホルモン「インスリン」によって細胞に取り込まれます。
多く食べるほどインスリンが多く分泌されますが、この状態が続くことで膵臓が疲れるとインスリンの分泌量が減って血糖をうまく細胞に取り込めなくなり、血液中に糖があふれてしまいます。
また、肥満などで脂肪細胞が増えると、インスリンの働きを邪魔する物質が産出され、インスリンの効きが悪くなり、高血糖を引き起こしやすくなります。
「高血糖の状態が続くと糖尿病となり、血管や神経に悪影響を及ぼします。軽度の糖尿病であっても、心筋梗塞などを起こす恐れがあるので注意が必要です。また、がん発症のリスクも上がります」と玉谷先生は指摘します。
糖尿病が進行すると、失明の原因となる糖尿病網膜症、脚の切断につながる糖尿病神経障害、腎不全の原因となる糖尿病腎症、さらに心筋梗塞、脳梗塞の5大合併症のリスクが一気に上がります。
そうなる前に血糖値を正常に戻し、糖尿病にならないようにすることが大切といえます。
※ 2型糖尿病 生活習慣病の一つ。生活習慣や遺伝的な影響によりインスリンが出にくくなったり、インスリンが効きにくくなったりして血糖値が高くなる糖尿病。他に、膵臓のインスリンを出す細胞が壊れ、インスリンがほとんど出なくなることにより血糖値が高くなる「1型糖尿病」があります。