【主な治療法】
それぞれの記号は、学会による治療の推奨度を表します。
◎=治療を希望する患者には、行うことを強く推奨する
〇=治療を希望する患者には、行うことを弱く推奨(提案)する
×=行わないことを弱く推奨(提案)する
××=行わないことを強く推奨する
一般社団法人日本形成外科学会、公益社団法人日本皮膚科学会ほか「美容医療診療指針(令和3年度改訂版)」より
<シミ(※)>
※適応になるシミとそうでないシミがあるので、医師の診察をしっかり受け、良い適応があることを前提とした治療法を検討しましょう。
レーザー治療 ◎
レーザーによりシミを破壊。さまざまな機器があり、安全基準を遵守して正しく使えば、安全性や患者の満足度が高いと報告されています。治療後に黒ずみなどの色素沈着を起こすことも。
光治療 ◎
IPL(Intense Pulsed Light)という特殊な光を照射。広い波長でシミを壊し、真皮のコラーゲンを活性化します。治療後にかさぶたなどは生じにくいですが、治療回数はレーザー治療より多め。
<シワ・たるみ>
機器治療 〇
フラクショナルレーザー療法、高周波治療、HIFU(ハイフ)(高密度焦点式超音波治療法)などがあります。いずれも真皮の組織に働きかけることで修復・再生を促進。HIFUは神経麻痺や痛みなどの後遺症が生じることもあります。
ボツリヌス菌毒素製剤 ◎
筋肉の収縮を抑制するボツリヌス菌毒素製剤を注射。重篤な副作用の報告はなく、比較的安全性の高い治療法ですが、必ずしも効果が得られるわけではなく、効果はあっても半年程度。
フィラー(充填剤)注入
吸収性フィラーは〇、非吸収性フィラーは××
吸収性はヒアルロン酸製剤、コラーゲン製剤などがあり、後者はアレルギー反応が生じる場合も。非吸収性のシリコンゲルなどは、感染症、注入場所以外への皮下移動、むくみ、痛みなどの後遺症が生じやすいので避けること。
多血小板血漿(PRP)療法 〇
自分の血漿液を注射する再生医療で、乾燥などによる小ジワに有効。ただし、bFGF(トラフェルミン)を添加したPRPの注入療法はしこりなどの後遺症のリスクが高く、眉間への注入では失明に至ったケースも報告されています。
スレッドリフト(糸) 〇
皮膚を切らずに細かいトゲの付いた糸を挿入し、組織を引き上げて症状を改善。吸収性の糸なら効果は半年から1年程。非吸収性の糸は炎症などを起こした際に取り出すのが困難なので注意。
施術を受ける前に4つのチェックを
使用する薬がどんなものか
自分で説明できるか
治療に使われる薬剤やその材料、医療機器はどんなものですか? その安全性と有効性について自分でも説明できる程度まで、医師の説明をしっかりと聞いて理解しましょう。
効果だけでなくリスクや
副作用にも納得したか
「効果とリスク(副作用、後遺症や合併症の有無など)のバランス」について納得できていますか? また、当初期待した通りの効果がない場合があることも、理解しておきましょう。
他の方法や選択肢の説明を
聞いて自分で選んだか
他の施術方法がある場合、効果、リスク、費用などを比較しましたか? それぞれの説明を理解できるまで聞き、自分で選択しましょう。医師のすすめるものが唯一の方法とは限りません。
その施術は
「今すぐ必要」か
多くの場合、美容目的の施術は緊急性がありません。「今すぐ契約すれば安くなる」などの勧誘に十分注意し、契約トラブルを回避すること。もう一度、自分の気持ちを確認しましょう。
厚生労働省・消費者庁「美容医療を受ける前にもう一度」より
構成/岡田知子(BLOOM) 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史