「がん予防」というと、どんなイメージがあるでしょうか。様々な健康情報がありますが、がん専門医であり、予防医療のヘルスコーチとして活動する石黒成治さんは、がん予防の1つとして「筋トレ」を習慣づけることを勧めています。そこで今回、石黒さんの著書『筋肉ががんを防ぐ。専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』(KADOKAWA)より、著者が考える筋トレとがんの関連性や、具体的なトレーニング方法などを厳選して紹介します。
※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。
【前回】筋肉の退化は「30代」から始まる! 筋トレは「がん」や「寝たきり」など様々な疾患の予防につながる!?
「歩く速度」が人生後半の余命を決める
高齢になるに従って歩く速度はどんどん遅くなっていきます。
70歳の時点での歩行速度毎秒1.6mの人と比べて、毎秒0.8mの人ではその後の寿命が12年短くなります(JAMA. 2011)。
毎秒0.8mというのは普通の交差点で横断歩道をギリギリ渡れる程度の歩行速度です。
歩行の際には足を交互に前に運びますが、このとき片足で全身を支えることができないと歩幅がどんどん短くなってしまいます。
歩く速度が遅いということは、足を速く動かすことができないのと同時に片足で体重を支えることができないということです。
人生後半では筋力が余命を反映します(BM J. 2008)。
いつまでも歩くことができる体を維持するためには毎日歩くことが基本です。
ちょっとした距離であれば車を使わない、なるべく階段を使う、座って仕事をしていても15分おきに立ち上がるなど日常生活の中で筋力を維持するための行動はたくさんあります。
しかしいつまでも歩ける体を維持するためには筋トレは欠かせません。
もちろん、足の筋肉、体幹の筋肉は重要ですが、重点的に鍛えて欲しい筋肉があります。
それはお尻の筋肉、中臀筋です。
中殿筋は、骨盤横側の筋肉で、片足で立つとき歩くときによく使う筋肉です。
骨盤が安定すればより長い時間片足で立っていることができるので歩幅が広がります。
普段から片足で立つ練習や臀部トレーニングを積極的に行います。