初期症状は「全くない」気付いたら症状が進行...日本人で最も多い「大腸がん」の治療法と問題点とは

「がん予防」というと、どんなイメージがあるでしょうか。様々な健康情報がありますが、がん専門医であり、予防医療のヘルスコーチとして活動する石黒成治さんは、がん予防の1つとして「筋トレ」を習慣づけることを勧めています。そこで今回、石黒さんの著書『筋肉ががんを防ぐ。専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』(KADOKAWA)より、著者が考える筋トレとがんの関連性や、具体的なトレーニング方法などを厳選して紹介します。

※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。

【前回】日本人に足りないのは「がん予防」に関する正しい知識! そもそも「がん」とは何か、専門医が解説

初期症状は「全くない」気付いたら症状が進行...日本人で最も多い「大腸がん」の治療法と問題点とは 3_pixta_82708083_S.jpg

日本人で最も多い「大腸がん」

前述のように日本人男女合わせて、最も多いがんは大腸がんです。

大腸とは口から肛門までの消化管の中で、口から最も遠い部位です。

大腸はおなかの中を時計回りに一周する結腸と、それに連続する骨盤付近で肛門につながる直腸の2つの部位に分かれます。

大腸のがんは大腸のポリープを元にしてがん化していくものが多いため、検診で便潜血検査(便に混じった血液を見つける)を行いポリープからの出血を探します。

検査で出血が認められた人は、大腸の内視鏡を行って実際にポリープがないかどうかを調べます。

そのときに大腸がんが運良く(?)見つかる場合もあります。

日本では内視鏡検査が盛んで技術力も高いため、早期の段階で見つけるがんの割合が多く、大腸がんの多くは良性のポリープからわずかにがん化しただけの早期がんとして発見されます。

そのため手術治療ではなく、内視鏡的にポリープを切除する方法で治療が完了します。

大腸は円周が8cmから12cmぐらいの筒状の形状をしています。

小腸で栄養分を吸収した後の消化液が流れ込み、主に水分を吸収して便を形成する臓器です。

そのため大腸の前半部分は主に水様の便が通過し、後半部分になるにつれて便が固まってきます。

大腸がんは腸の内腔の粘膜から発生します。

そのためがんが進行するにつれて大腸の内腔に突き出すような形になり、次第に便が通りにくくなってきます。

大腸の前半でがんが発生しても便は水様なためかなり大きくなるまで便が詰まることはありませんが、後半部分でがんが発生すると固形の便が通過しにくくなりがんに引っかかるようになります。

便ががんに引っかかるようになると、腸は無理して通そうと過剰に動いたりするためおなかが痛くなったり、逆に固形の便を通すと症状が強くなるためわざと水分を吸収しないようにして下痢便を通すようになります。

しかしさらに進行してしまうと完全に腸が詰まる状態(腸閉塞)になり、緊急の処置(手術など)をしなければ命に関わる状態となってしまいます。

このように大腸がんは早期、初期の頃は全く症状はなく、症状が出た段階ではかなり進行していると考えて間違いありません。

 
※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。
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