「がん予防」というと、どんなイメージがあるでしょうか。様々な健康情報がありますが、がん専門医であり、予防医療のヘルスコーチとして活動する石黒成治さんは、がん予防の1つとして「筋トレ」を習慣づけることを勧めています。そこで今回、石黒さんの著書『筋肉ががんを防ぐ。専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』(KADOKAWA)より、著者が考える筋トレとがんの関連性や、具体的なトレーニング方法などを厳選して紹介します。
※本記事は石黒成治著の書籍『筋肉が がんを防ぐ。 専門医式 1日2分の「貯筋習慣」』から一部抜粋・編集しました。
2人に1人ががんになる
国立がん研究センターのがん情報サービスのサイトでは、がんは「すべての人にとって身近な病気です」と書かれています。
がんが身近と言われてもピンとこないかもしれません。
現在では日本人100人あたり53.8人が生涯を通じてがんになると計算されています(日本癌治療学会ホームページより)。
2人に1人以上の割合でがんになるわけですから身近だと表現されるのでしょうが、がんになるのは50 %以上が65歳以上ですので年齢が若い間にがんを意識することはほとんどないかもしれません。
しかし将来予測として出されているデータでは2015年から2039年にかけてさらにがんになる人が増加すると予想されていることを考えると、今の65歳以下の人ががんになる割合が70 %程度になっても不思議ではありません(日本人におけるがんの原因・寄与度:最新推計と将来予測/国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」)。
日本のがんの死亡者は30年で2倍に増加
日本人の死因の第1位はがんによる死亡です。
これは1981年に死因1位となりましたが、当時の死亡者数は年間16万人でした。
その後がんによる死亡数は増加の一途をたどり、2021年は年間38万人以上ががんで亡くなっています。
一般には高齢者の割合が高くなったり、がんになる人が増加しているため、がんで死亡する人が増えていると考えられています。
つまりがんが増加しているのはすべて年齢のせいだとされているわけです。
しかし高齢化をしているのは日本だけではありません。
アメリカではがんの死亡者は減少
アメリカでも同様に高齢化が進んでいますが、1980年と2014年で人口10万人あたりのがん死亡者数を比較すると240人から192人へと2割減少しています(JAMA. 2017)。
同時期の日本のデータでは142人から289人へと約2倍に増加していることから、日本のがん死亡者数の急増がいかにおかしいかがわかると思います。
日本人は何かがんに対する認識を誤っていると考えざるを得ません。