健康や若々しさに深くかかわりがあるという血管や血流。でも血管や血流の働きをよくするにはどうしたら? 今回は医師、医学博士の根来秀行(ねごろ・ひでゆき)先生に「毛細血管を増やす新習慣」について教えてもらいました。
【前回】「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」
根来式 毛細血管を増やす新習慣
入浴で血流を上げる
夜は10分湯船につかる
血流を良くするためには、入浴が欠かせません。
「まずは、夜、10分でいいので湯船につかってください。シャワーだけでは十分な効果が得られず、血流アップにつながりません」と根来先生。
お湯の温度は、冬ならば41℃までを目安に。
また、寝つきを良くするには、眠る1時間前にはお風呂から出ているのが理想です。
「湯船につかる時間が10分程度の人は、短時間で温まる全身浴を。長湯の人は、半身浴でもいいでしょう」
《5分間の瞑想で頭すっきり》
お風呂の中で目を閉じて、何も考えない時間を作ってみましょう。呼吸を1から10まで数
えながら繰り返すだけ。雑念が出てきたら穏やかに受け入れ、呼吸に意識を戻していきま
す。最初は短い時間からでOK 。リラックスして行うのがポイントです。
炭酸の湯で血流アップ
湯船に炭酸系の入浴剤を入れるのも効果的です。
「炭酸ガスによるマッサージ効果で、体内の血管壁から血管を拡げる作用のある一酸化窒素(NO)が分泌され、全身の毛細血管がゆるみ、血流が良くなります」(根来先生)。
炭酸はぬるめの湯によく溶けるので、38~40℃の湯に溶かして、じっくりとつかるのがおすすめ。
ただし、ぬるめでものぼせて貧血を起こすことがあるので、長湯にはご注意を。
浴室やお湯に好きな香りを
好きな香りに包まれて入浴するのもいいと根来先生。
「アロマオイルの香り成分には、リラックス効果があります。効果や効能で選ぶのも良いですが、香りの感じ方は人それぞれ。自分が心地いいと感じる香りを選ぶといいでしょう」。
アロマバスを行う際は、好みの精油(エッセンシャルオイル)3~5滴を、ホホバオイルなどのキャリアオイルで希釈し、よくかき混ぜてから湯船に入れましょう。
湯船で小さくストレッチ
お風呂の中は、絶好のストレッチタイムでもあります。
「湯船につかり、筋肉をほどよく伸ばすと、副交感神経が優位になって毛細血管がゆるみ、血流が良くなります」(根来先生)。
首のストレッチ(下記)の他、手首など、狭いスペースでもしっかりとほぐせる部位を動かしてみましょう。
「ストレッチをするときは呼吸を忘れず、伸ばす際は細く、長く、息を吐きましょう」
【お風呂で首ストレッチ】
(1)息を吐きながらゆっくり首を前に倒す。後ろにも同様に倒す。
(2)息を吐きながら首を左右に大きく1周ずつ回す。(1)(2)を3回繰り返す。
リンパをなでて足元からシャワー
毛細血管を元気にするためには、リンパの流れを良くすることも重要です。
「リンパは毛細血管に並走する形で全身に張り巡らされており、毛細血管が回収できない老廃物や水分を流し、体外へと排出します」と、根来先生。
まずは、泡立てた石けんを付けた手のひらや指などを密着させ、頭部→胸→肩→ひじ→手→背中→腰→お尻→太もも→ひざ裏の順で、上から下、中心から外に向かって軽い力で体を洗います。
その後、やや熱めの湯で、心臓から遠い足から頭部に向かって順にシャワーをかけ、石けんを洗い流しましょう。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 イラスト/moeko モデル/岩本千春(splash)