「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」

しみ、しわ、くすみや免疫力低下は加齢とともに気になるもの。その予防、健康や若々しさに深くかかわりがあるという血管や血流。でも血管や血流の働きをよくするにはどうしたら良いのでしょうか? 今回は医師、医学博士の根来秀行(ねごろ・ひでゆき)先生に「血管若返りの秘訣」について教えてもらいました。

【前回】ハーバード大学客員教授・医師が教える新習慣!入浴・呼吸・睡眠で血管が若返る!

血管の99%は毛細血管です

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実は体中に張り巡らされた血管の99%を占めるのは毛細血管です。

直径わずか100~200分の1mmほどの超極細の血管ですが、その役割は重大。

体を構成する細胞は60兆個といわれますが、毛細血管は全身のどの細胞からも0.03mm以内の場所にあり、酸素や二酸化炭素、ホルモン、免疫物質、老廃物などの受け渡しを行っています。

血管若返りの秘訣は毛細血管を増やすこと!

血液は、心臓を起点に全身の血管を巡り、再び心臓へと戻ります。

この一連の流れを血流と呼び、血流をスムーズにするために働いているのが毛細血管です。

「毛細血管の最も重要な役割は、体内の各細胞に酸素と栄養素を届けること。それと同時に、不要な二酸化炭素や老廃物を回収する役目もあります。肌のしみやしわが増えた、髪が細くなった、かぜをひきやすくなったなどの現象は、毛細血管が衰えているサインです」と、根来先生。


毛細血管5つの働き

●細胞から二酸化炭素と老廃物を回収

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●免疫細胞を送り、外敵を撃退する「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」 2302_P010_04.jpg

●細胞に酸素と栄養を届ける「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」 2302_P010_05.jpg

●ホルモンを運び情報を伝達する「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」 2302_P010_06.jpg

●血流を調整し、体温を調節する「血管力の低下」がしわ、しみ、免疫力に影響...! 知っておきたい「血管が喜ぶ生活習慣」 2302_P010_07.jpg


毛細血管には他にも上のような役割があり、劣化するとさまざまな不調が起こります。

毛細血管が衰えて血流が減った状態が続くと、毛細血管は消えてなくなります。

しかし、「血流を上げる」「血管をゆるめる」「ゆるんだ血管を維持する時間をとる(末梢の毛細血管への血流を保つ)」といった血管が喜ぶ習慣を身につけることで、何歳からでも増やすことができます。

具体的には「夜、湯船につかる」「腹式呼吸をする」「部屋を真っ暗にして眠る」の3つからスタートしてください。

余裕がある人は、血流アップのために、ウォーキングなどの適度な運動をしたり、シナモンやルイボスティーのような毛細血管の結びつきを強化する食材を積極的に摂るのもいいそう。


毛細血管は60代で4割減ります

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糖尿病の悪化
高血糖の状態が続くと、血液中の糖が毛細血管の内皮細胞を傷つけ、腎障害や網膜症、神経障害などを招くことも。

腎臓のトラブル
腎臓内部には毛細血管が集まっているため、腎機能は毛細血管の状態に左右されます。

腎臓の毛細血管が劣化すると高血圧を引き起こすことも。

胃腸が弱る
毛細血管の劣化は、胃腸粘膜の新陳代謝にも影響が。

消化活動にトラブルが起き、胃腸炎や胃潰瘍などの原因にも。

認知症
毛細血管の血行不良で、脳の中に小さな空洞ができることが。

これはラクナ脳梗塞と呼ばれ、繰り返すことで脳血管性の認知症リスクがアップ。

しみ、しわ、くすみ
肌の新陳代謝が鈍くなり、十分な栄養が行き渡らなくなります。

その結果、肌トラブルが目立つようになります。

免疫力低下
血流が悪くなり、ウイルスや細菌など外敵の侵入を防ぎにくく。

かぜをひきやすくなったり、アレルギー症状が出やすくなることも。

何歳からでも大丈夫

毛細血管は増やせます

毛細血管は傷口から新しい血管を作り、別ルートで血流を確保する血管新生という仕組みを持っています。

血管から枝分かれするように、新しくできた血管が伸びていけば、再び酸素と栄養の運搬が可能になります。

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血管を増やすには

(1)血流を上げる
(2)血管をゆるめる
(3)血流を保つ

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) 撮影/米山典子 イラスト/moeko モデル/岩本千春(splash)

 

<教えてくれた人>
医師、医学博士

根来秀行(ねごろ・ひでゆき)先生

ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授、事業構想大学院大学理事・教授など。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたる。著書多数。

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『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来が教えるストレスリセット呼吸術』

(根来秀行 /KADOKAWA)

1,650円(税込)

約5万人を対象に調査・分析した結果をもとに、不調から抜け出す方法を考案。最適なタイミングでの8種の呼吸法と、切り替えのスイッチとなる行動のヒントが101種も詰まった一冊です。

この記事は『毎日が発見』2023年2月号に掲載の情報です。
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