「下肢静脈瘤」の最新治療法! 「血管内治療」の仕組みを医師が解説

足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。

※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。

【前回】血管を焼く? くっつける?「下肢静脈瘤」治療方法の選び方と治療スケジュール

血管内焼灼術~レーザー治療とは~

血管にカテーテルを入れて焼く血管内焼灼術は2種類あります。

最初に保険適用されたのがレーザー治療です。

治療は局所麻酔を行った後、エコー(超音波検査装置)で観察しながら逆流防止弁が壊れた静脈に細い針を刺します。

細い針の中に、レーザー光を照射する光ファイバーという細い管を入れて、足の付け根まで進めていきます。

足の付け根に届いたら、次にTLA麻酔という局所麻酔剤を静脈のまわりに数力所注入し、静脈の内側からレーザーを照射します。

レーザーの当たった部分がきちんと焼けているかを確認しながら、光ファイバーを足元に向かって引いていくと、静脈は足の付け根から焼けてふさがります。

光ファイバーの先端が皮膚の近くまできたら照射を止め、光ファイバーを引き抜けば治療は完了です。

通常の場合、静脈を焼いている時間は5分ほどです。

その後、ふくらはぎに残った静脈瘤を、スタブアバルジョン法で切除します。

スタブアバルジョン法は、1~2mmの皮膚切開から、特殊な器具を使って静脈を引き出して切除する方法です。

傷は小さいので縫合する必要はなく、傷跡もほとんど残りません。

麻酔をしているので、治療中の痛みはありません。

治療後は合併症を防ぐために、弾性包帯を巻き、その上から弾性ストッキングを着用します。

治療自体は30分から1時間、院内にいる時間は1時間半から2時間程度です。

すぐに歩くことができますが、弾性包帯をしっかり巻くため、自転車や車の運転はできません。

デスクワークやシャワーは翌日から可能です。

立ち仕事やハードワークは3日後くらいから再開できます。

翌日も来院してもらい、傷や静脈の状態を確認します。

問題がなければ弾性ストッキングを着用して終了です。

1力月後に診察があり、エコー検査を行い合併症がなければ、弾性ストッキングの着用は終了です。

初診料や検査、治療など、すべて健康保険が適用されます。


血管内治療のしくみ

「下肢静脈瘤」の最新治療法! 「血管内治療」の仕組みを医師が解説 荳玖い髱呵ц逖、_逕サ蜒・kashi_P111_01.jpg

A【レーザー治療】「下肢静脈瘤」の最新治療法! 「血管内治療」の仕組みを医師が解説 荳玖い髱呵ц逖、_逕サ蜒・kashi_P111_02.jpg

B【高周波ラジオ治療】
「下肢静脈瘤」の最新治療法! 「血管内治療」の仕組みを医師が解説 荳玖い髱呵ц逖、_逕サ蜒・kashi_P111_03.jpg


血管内焼灼術~高周波(ラジオ波)治療とは~

もうひとつの血管内焼灼術である高周波治療は、ラジオ波治療とも呼ばれています。

光ファイバーの代わりに、電熱線を巻いた細いカテーテルを静脈内に入れて、電熱線に高周波電流を流し、その熱で静脈を焼く治療法です。

高周波(ラジオ波)治療の手法は、レーザー治療と基本的に同じです。

局所麻酔した後、エコーで観察しながら静脈に細い針を射し、カテーテルを入れて足の付け根まで進めます。

次にTLA麻酔という局所麻酔剤を静脈のまわりに数カ所注入し、高周波発生装置にカテーテルをつないで静脈の内側から焼いていきます。

スイッチを入れるとカテーテルに高周波電流が20秒間流れます。

20秒後に自動的に電流が止まるので、カテーテルを7cm引く、これを繰り返します。

レーザー治療では光ファイバーを少しずつ引きながら徐々に焼いていくのに対して、高周波では7cmずつ焼いていきます。

皮膚の近くまできたら、カテーテルを引き抜いて治療は完了です。

その後は、レーザー治療と同様に、ふくらはぎに残った静脈瘤をスタブアバルジョン法で切除します。

短時間で治療を終えることができ、すべて局所麻酔で行うので治療中の痛みはありません。

治療後は、合併症を防ぐために弾性包帯で巻き、その上から弾性ストッキングを着用します。

こちらも当日は、治療自体は30分から1時間、院内にいる時間は1時間半から2時間程度です。

レーザー治療と同様、治療後すぐに歩くことができますが、弾性包帯をしっかりくため、自転車や車の運転はできません。

デスクワークやシャワーは翌日から、立ち仕事やハードワークは3日後くらいから再開できます。

傷の状態や、エコー検査で静脈の状態を確認するため、翌日の来院は必要です。

問題がなければ弾性ストッキングを着用して終了です。

1カ月後に診察があり、エコー検査を行い合併症がなければ、弾性ストッキングの着用は終了です。

こちらも初診料や検査、治療などすべて健康保険が適用されます。


血管内焼灼術のメリット

メリット(1)麻酔をするので治療中は無痛

メリット(2)治療後の痛みも少ない

メリット(3)体への負担が少ない

メリット(4)日帰りで行える

メリット(5)再発も少ない

血管内焼灼術後の経過

当日:すぐに歩行可能

翌日:診察。デスクワーク復帰可能 シャワー可能

3日後:立ち仕事、ハードワーク復帰可能

2週間後:運動、旅行可能

1カ月後:診察。弾性ストッキング着用終了

 

広川雅之

東京医科歯科大学血管外科で静脈の病気を専門として診療を行い、内視鏡的筋膜下穿通枝切離術(99年)、日帰りストリッピング手術(2000年)、血管内レーザー治療(02年)など、下肢静脈瘤の新しい治療法の研究・開発を行っている。

shoei.jpg

血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方

広川雅之KADOKAWA

最近、自分の足をじっくり見たことがありますか?謎のボコボコができていたり、青い血管がウネウネしていたり…。もしかしたらそれ、下肢静脈瘤かもしれません。本書では下肢静脈瘤のセルフケア方法「1分体操」を紹介。正しい知識を身につけ、「ボコボコ足」とサヨナラしましょう。

▶Amazon(単行本)
▶Amazon(電子書籍Kindle版)
▶楽天ブックス(単行本)
▶楽天ブックス(電子書籍Kobo版)
▶コミックシーモア
▶ebookjapan
▶BookLive!
▶BOOK☆WALKER

202203_fujoinewnomal_760x189.jpg

prodokushin.jpg

※この記事は『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』(広川雅之/KADOKAWA)からの抜粋です。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP