緑内障と白内障をご存じでしょうか? いずれも年を重ねた大人女性は注意しておきたい目の病気です。そこで、東京都江戸川区の二本松眼科病院副院長の平松 類(ひらまつ・るい)先生に、その予防法や最新の治療方法についてお聞きしました。
1.「緑内障」のチェック方法
見づらくなる前の早期発見がなによりも大切
緑内障は70歳以上の1割が患っているといわれる目の病気です。
視神経が傷つけられて視野が欠けていく病気で、そのまま放っておくと見えない部分が徐々に広がって失明に至りますが、「早めに発見して治療すれば、99%失明を防ぐことができます」と、二本松眼科病院の平松類先生は言います。
緑内障の主な検査に検診などで行う眼圧検査があります。
正常眼圧は10~21mmHgとされていますが、これは一つの目安程度にとらえましょう。
緑内障の原因は、視神経に過大な眼圧(眼球の内側から外側にかかる圧力)がかかることと考えられてきましたが、実は日本人の緑内障患者の約7割は正常眼圧。
視神経の強さには個人差があり、視神経が弱い人は正常眼圧でも発症のリスクが高まります。
「緑内障は視野が欠けても自覚しにくく、見づらさを感じるときにはかなり進行しています。一年に一度は眼科で詳しい検査を受けましょう」(平松先生)
まずは緑内障チェック
□視界に虹のような光が見える
□視界がキラキラする感じがする
□本を読んでいると行を飛ばしてしまう
□人とよくぶつかる
□車をよくこする
これらは緑内障で視野が欠け始めているときによく見られる症状。早めに眼科へ。
▶詳しい記事はこちら:40代以上で、ストレスを受けやすい人は気を付けて!失明につながる「緑内障」セルフチェック
2.「緑内障」の症状と治療法
近視の人は高リスク。視野が欠ける病気
「房水」の量が不安定になり眼球が視神経を圧迫
緑内障は、眼圧により視神経が障害され、視野が欠ける病気です。
目の中では毛様体から房水が分泌され、同量が隅角から排出されることで眼圧を一定に保ちますが、分泌量が多かったり、フィルターの働きを持つ隅角の線維柱帯(せんいちゅうたい)が詰まって排水が悪くなったりすると、眼圧が上がって眼球が硬くなり、視神経にダメージを与えます。
強度の近視の人も眼軸(眼球の奥行き)が長くなり視神経が圧迫されやすくなります。
高・低血圧や糖尿病で血流が悪く、視神経が弱っている人も発症しやすくなります。
見え方の例。見えない部分が徐々に広がり、視野が狭くなって、視力が低下します。
正しく目薬をさして失明しないことが最重要
「現在の医療では、欠けた視野や失われた視神経を治す、つまり元に戻すことはできません。治療の目的は『治す』ことではなく、『これ以上の視野の欠損を防ぎ、失明させない』ことです」と、平松先生。
その基本が目薬での眼圧コントロールです。
さし方によって効果が大きく変わり、手術をせずに済むこともあるそうです。
さした後に目頭を押さえるのは、鼻やのどに目薬が流れるのを防ぐため。
まばたきは、目薬が目からあふれて効果が弱まるので厳禁です。
複数の目薬をさすのが困難な場合、混ぜたものを処方してくれる場合もあるので、医師に相談を。
▶詳しい記事はこちら:最重要なのは「失明しないこと」。視野が欠ける病気「緑内障」の治療法
3.「白内障」のチェック方法
70歳以上で90%、80歳以上でほぼ全員がなります
白内障は、目の中でレンズの役割を持つ透明な「水晶体」が加齢により濁り、ものが見づらくなる病気です。
「レンズが曇ったままのカメラで撮影するように、視界がぼやけたり、光が乱反射して見にくくなります。進行すると水晶体が白から黄色、褐色に近くなり、色の組み合わせや濃淡が判別しづらくなります」と、平松先生。
老眼と混同しがちですが、老眼は目のピントが合わず見づらいのに比べ、白内障は近くも遠くも視界全体がかすむのが特徴。
眼鏡をかけても見づらさは改善されません。
白内障は人工の眼内レンズを入れる手術で改善でき、運転免許の更新に必要な「両眼の矯正視力0・7」に満たなくなったときが手術のタイミングです。
「白内障は進行が遅く、手術を受ければ失明することはほぼありませんが、一年に一度は検査を受けましょう。見づらいことを年のせいにして放っておいては、いずれ見え方に悩むことになります」(平松先生)
白内障チェック
[その1]
□ なんとなく見えにくい気がする
□ テレビや映画の字幕が見にくい
□ 離れた人の顔が分かりにくい
□ 長時間の読書が疲れる
□ 太陽の光をまぶしく感じることが多い
□ 階段の上り下りに不安を感じることがある
□ 月が2~3個に見えることがある
□ 以前と色合いが違って見える
□ 右目と左目で見え方が違う
□ 目がなんとなく重く、うっとうしい
□ 黒と紺など似た色の区別がつきにくい
上の11個の項目でチェックがついた項目の数を、以下に照らし合わせてください。
1個以上 ... 要注意
3個以上 ... 可能性が高い
5個以上 ... すぐに病院で受診!
▶詳しい記事はこちら:80歳以上は...ほぼ全員⁉ 水晶体が濁り、見えづらくなる「白内障」のセルフチェック
4.「白内障」の症状と治療法
加齢で水晶体が濁りものが見づらくなる
水晶体が濁って、光を通しにくくなったり、光が拡散したりします。
老化現象の一つだが外的刺激も要因に
白内障は目の中の水晶体が濁ることで発症します。
水晶体はたんぱく質でできていて、透明な卵白が熱で白く固まるのと同じく、一度濁ると元の状態には戻りません。
濁る主な原因は加齢ですが、ボールが目に当たるといった強い衝撃、ステロイド剤の使用なども挙げられます。
目をかいたりこすったりする摩耗刺激も水晶体が傷つく原因に。
特に女性は化粧やコンタクトレンズをしたままかいたりこすったりする人が多いので注意。
自分に合った手術で治す
《手術の主な方法》
点眼麻酔後、メスで角膜を2~3mm切開し、さらに前囊(ぜんのう―水晶体が入っている袋の前面)を円形に切り開く。
水晶体に超音波を当てて砕き、吸引して取り除く。
眼内レンズを挿入し、固定する。
▶詳しい記事はこちら:「眼内レンズ」はどう選べばいいの? 医師が教える「白内障の手術」基礎知識
取材・文/岡田知子(BLOOM) イラスト/ノグチユミコ