2020年1月、日本で新型コロナウイルス感染症の1例目が発表されて以来、私たちの生活は大きく変わりました。家にこもり、黙って食べ、人に触れない...そんな味気ない日々がもう1年近くも続き、疲れ果てた人も多いでしょう。そこで未知のウイルスとの闘いを乗り越えるためのヒントを鎌田實先生に聞いてみました。今回は「自宅で、1人で、道具なしでできる筋力アップの方法」です。
巣ごもり生活で筋肉を老化させない運動を
世界中がロックダウンになり、日本でも外出自粛要請が出て、家にこもる生活が続きました。
「活動量が減れば筋肉量も減っていきます。最近のドイツの研究で、筋肉がウイルスやがん細胞を殺傷するT細胞という免疫細胞の働きを強化することが明らかになりました(※)。T細胞は獲得免疫の一つで、自然免疫よりも強いといわれています。コロナにならない体を維持するためには、巣ごもりでも手軽にできる運動で筋肉を育てる必要があります」と鎌田實先生。
筋肉は使わなければ減るため、外出自粛などで運動量が減れば筋肉も減ってしまいます。
さらに20代に比べ70代では約30%も筋肉量が減るという加齢の影響も避けられません。
一人で道具なしでできる筋肉を鍛える運動を、鎌田先生が二つ教えてくれました。
※"Skeletal muscle antagonizes antiviral CD8+ T cell exhaustion", 12 Jun 2020, Science Advances: Vol. 6, no. 24, eaba3458
筋力アップ
●ランジ
太ももの皮下脂肪が減り、美脚効果もある
【左右10 回1セット×1日3セット】
① 脚を肩幅に開き、背筋を伸ばして直立する。胸の前で両手を組んで、左脚を前に踏み出し、上半身が前に倒れないようにかかとから着地する。
②ひざで直角を作るように真下に体をゆっくり下ろす。次に前に出した左脚を元の位置に戻し直立する。右脚も同様に続ける。
*ランジを始める前に、アキレス腱伸ばしのストレッチを行いましょう。
●ワイドスクワット
内もも、股関節、腹筋を鍛えて脱メタボ、転倒予防に効果あり
【10回1セット×1日3セット】
①背筋を伸ばして脚を大股に開き、爪先は逆ハの字で直立する。
②腹筋を使ってゆっくりと太ももを外に開きながらひざを曲げる。
③太ももが地面と平行になるように、ゆっくり沈めていく。ゆっくりと元の姿勢に戻る。
[注意ポイント]
上体は前傾しないように。手を添えて確認しながらでも良い。
基本のコロナ予防法
新型コロナウイルスが怖いのは「感染力」。油断せずに基本を守って、人にうつさない、うつされない生活を維持しよう。
物理的な距離
食事中、会話中も適度な距離を取って、飛沫感染を起こさないようにしよう。両腕を横に開いた分くらいは人との距離を保つようにする。
手洗い
外出後、トイレ後など忘れずに手洗いを。指先、指の間、手首などは洗い残しやすいところなので要注意。ドアノブ、リモコンは毎日アルコールで拭こう。
換気
家族内感染も気になるので、寒い季節になっても換気を忘れずにしておきたい。できればドアや窓を2カ所開けて空気の流れを作っておこう。