「後ろに反らすと痛む腰痛」である「腰椎分離症」「腰椎すべり症」は、悪化するとさまざまな腰痛に移行していくので注意が必要です。さかいクリニックグループ代表の酒井慎太郎先生に、起こりうる腰痛と対策について教えていただきました。
前方に重心をかけ過ぎないようにする
「腰椎分離症・すべり症」は、体を後ろに反らすと痛みが出やすいです。
反対に、重心を前にかけたときには痛みが和らぐことがあります。
しかし、痛みが和らぐからといって、背中を丸めて歩いたり、食事のときに猫背になると、症状は改善されません。
「普段から背骨を意識して、良い姿勢を保つようにすることが大事です」と酒井先生。
前かがみの姿勢では、腰椎と腰椎の間にある椎間板に負担がかかってしまいます。
「椎間板の内部にある髄核がはみ出して神経を刺激する『椎間板ヘルニア』になりやすいです。
私のところに来る『腰椎分離症』や『腰椎すべり症』の患者さんの多くは、『椎間板ヘルニア』にも悩まされています」。
【後ろに反らすと痛む腰痛】
「腰椎分離症」
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「腰椎すべり症」
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背筋を伸ばさないと症状が進行して「脊柱管狭窄症」
腰椎の背中側にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される。
しばらく歩くと痛みやしびれが出て、少し休むと治る「間歇性跛行」(かんけつせいはこう)が起こる。
また、腰椎分離症および腰椎すべり症で「楽だから」と前かがみの姿勢ばかりでは、椎間
板ヘルニア(下記・前かがみになると痛い腰痛)に移行する。
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【前かがみになると痛む腰痛】
「筋・筋膜性腰痛」
腰の周りにある筋肉が疲労して、筋肉痛を起こした状態。
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「椎間板症」
椎間板が圧迫されて変形し、腰に痛みやだるさを感じる状態。
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腰椎の前側のつぶれが悪化して「椎間板ヘルニア」
椎間板がつぶれて、中心部にあるゼリー状の「髄核」が椎間板の外側にはみ出てくる。
神経が圧迫されて、腰や足に痛みやしびれを感じるようになる。
「椎間板ヘルニア」を発症すると、腰を後ろに反らせたときばかりでなく、前かがみになったときにも痛みを感じるようになってしまいます。
「腰椎分離症・すべり症」をそのままにしていると、腰椎の状態が悪化します。
「『脊柱管』が次第に狭まっていき、神経を圧迫する『脊柱管狭窄症』を発症するケースもあります」 脊柱管狭窄症の人は、「仙腸関節ボール体操」を行うのがおすすめです。
構成・取材・文/松澤ゆかり イラスト/やまだやすこ