40代以上の3人に1人が経験するとされる「尿もれ」。デリケートな問題なので、誰にも相談できない人も少なくないようです。そこで、排尿トラブル治療の第一人者・山西友典医師が監修した『尿トレ:誰にも言えない尿のトラブル「スッキリ解消! 」ブック』(方丈社)から、同書をまとめた取材班が知った「尿トラブルの仕組み」と解消法となるトレーニング「尿トレ」のヒントを連載形式でお届けします。
これぞ中高年、最大の悩み!?
肥満していると、腹部の脂肪の重みが骨盤底筋群にダメージを及ぼすため、排尿トラブルを引き起こす直接的な要因になることがあります。
また、塩分のとりすぎは腎臓の病気や障害を招くことがあり、やはり排尿トラブルと密接な関係があります。
さらに、高血圧や動脈硬化、糖尿病など生活習慣病の前兆や症状のひとつとして排尿のトラブルが起こることも考えると、尿トレライフでは、減量(*9)と減塩(*10)を無視することはできません。
とはいえ減量・減塩!言うのも、書くのも簡単。しかし、実行するのは簡単ではありません。
簡単ではないので、本来なら減量&減塩に取り組むための"あの手、この手"を紹介するのが親切ですが、ハウツーは数多ある実用書に委ねることをご容赦いただきたく、お願いします。
約30年、美容と健康関連の実用書編集をしていて思うのは、ダイエットは継続が難しく、みんな簡単には痩せられないからこそ、次々「ダイエット本」が出版されるということ。減塩レシピ本もしかり、です。
カロリーをとりすぎない。野菜を先に食べる。薄味に慣れる、など。どうしたら減量&減塩できるか専門家並みに知っている人も多く、ネットを検索すれば山と専門家発信の情報と出会える今日。それでも減量&減塩が難しいのはなぜでしょうか。
私など、何度「減量&減塩」について取材し、本を作ったことか。それでもついているこのハミ肉は何なのでしょう?!
*9:身長に見合った体重かどうか判定する指標はBMI(Body Mass Index)。自分のBMI を出す計算式は「体重(kg)÷身長²(m)」。出た数字が18.5 ~24.9 であれば「ふつう」。以上であれば「肥満」です。
*10:厚生労働省が推奨している日本人の食塩摂取量の目標値は、男性は8g/ 日未満、女性は7g/ 日未満です。インターネットで「食品 塩分」等で検索すると、食品や料理に含まれる塩分量を紹介するサイトが多数閲覧できます。
PPK(ピンピンコロリ)を願うと、今、崖っぷち!
恥ずかしながらそれは10年、20年、30年後の自分をイメージすることなく、なんとなく年を重ね、食べてきた結果です。
"わかっちゃいるけどやめられない"ことのなんと多いことか。などと言い、まだ若いから大丈夫だと過信してきた、その気持ちは今も消えてはいません。
しかし、中年となっては自分の、未来の健やかなイメージを叶えるために「合理的な選択」をしているか?少しは意識する必要も感じています。
階段とエレベーターの前でためらったとき。生ビールをもう1杯頼もうか、どうしようか迷ったとき。なかなか「合理的な選択」はできませんが、自分なりのハッピーのために少し考え、行動を変えることが迫られています。
生活習慣病予防のための減量&減塩というのは、現在の体脂肪や塩分摂取量が10年、20年、30年後の健康を左右するという話なので、若い人と違い、中高年となっては「できない」と言っていたら、後がないからです。10年、20年、30年後、健康でないと叶えづらい希望があるから、心がけたい。
こういった気持ちは、ぜひ、家族と共有しておこうと思います。減量や減塩は生活の中のことなので、同じ環境・暮らし方をする家族と課題の共有が必要かと。
以前、高血圧予防の本を作ったとき、著者の医師から「遺伝というより、同じ食事をとり、食習慣や生活習慣が似ることから、近親者に高血圧や動脈硬化の人がいる人は、高血圧や動脈硬化などのリスクが高いと考えられる」と聞いたことがあります。
崖っぷちおばさんに朗報!
なかなか実行が伴わない崖っぷちおばさんですが、「合理的な選択」がしやすくなるコツを、杏林大学名誉教授・日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦先生に教わりました。
私たちの脳の「認知・判断・行動」には「情緒・経験則に基づく自動システム」と「熟慮システム」の2つのシステムがあるそうです。
平たく言うと、感情的(ときには惰性的)に判断して行動する場合と、よく考えて判断し、行動する場合があるということです。
普段、たいていの決断は、無意識に、自動的に行っていて、それで問題はないそうです。もし朝、洋服を着るとき「右手から袖を通すべきか、左からか。そもそもシャツとズボン、どっちを先に身につけるべきか」など、いちいち熟慮していたら大変。1日が何時間あっても足りなくなってしまうでしょう。
古賀先生曰く、何かトラブル(ストレス)に出くわした場合、気持ちも体も緊張して、「情緒・経験則に基づく自動システム」が優位にはたらく、とのこと。「戦うか、逃げるか」という場面で熟慮してはおられない!それが命を守るシステムのはたらきで、つまりストレスが強いと常に感情的な判断・行動をとってしまいがちになる、というわけです。
これまで目の前の誘惑に弱かったおばさんが「合理的な選択」をするには、これまで以上に「熟慮に基づくシステム」をはたらかせる必要があるでしょう。そのために「ストレス過多にならないよう日々のストレス対処がポイント」と古賀先生。
「明日から」とか「もういいや」と問題を先送りすることなく、未来のハッピーにつながる判断・行動をするために、ストレスケアが大事だということです。
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